56メートルの「トウモロコシ龍」 安徽の古村に登場

10月24日 15:50


黟県西逓村で、トウモロコシで作られた「巨大な龍」を見学する観光客=2026年9月23日撮影・資料写真(c)CNS/韓蘇原


【10月24日 東方新報】黄金色のトウモロコシをうろこに、赤唐辛子を舌に、黒米を瞳に、もち米を白目に――。トウモロコシの葉を束ねて龍のひれに見立てた。近日、中国・安徽省(Anhui)黄山市(Huangshan)黟県の西逓村で、全長56メートルに及ぶ「巨大トウモロコシ龍」が、明の万暦6年に建てられた胡文光牌坊の下に横たわるように展示され、注目を集めている。

「龍は中国国内外の華人に共通する精神的なシンボルであり、文化の象徴でもある」。マレーシア政府観光局副会長で、ペナン港務局主席を務める楊順興(Yeoh Soon Hin)氏はこのほど黄山を視察し、西逓村で行われる「晒秋(収穫した農作物を天日干しする習慣)」のことを聞き、わざわざ現地に足を運んだ。古い牌坊の下に立った楊氏は、「巨大龍」を見上げながら、「こうした郷土に根ざした文化的な創意工夫には驚かされる。収穫の喜び、団結への願い、そして山河への愛情を一つにして、世界に向けて披露している」と語った。

「今年は龍を56メートルにデザインしました。56の民族が一つに団結することを意味しています」と話すのは、黟県徽黄旅游発展集団(Yixian County Hui Huang Tourism Group)の黄偉(Huang Wei)総経理である。西逓村は「世界最優秀観光村」に選ばれており、毎年、中国国内外から多くの観光客が訪れる。「団結という理念と、豊作を祝う民俗文化を、より多くの人に伝えたい」と説明する。

近くで見ると、「龍」の一枚一枚の「うろこ」が丁寧に固定されている。装置のデザインを手がけ、制作にも参加した、村外から移住してきた呉徳輝(Wu Dehui)氏によると、今年使用したトウモロコシはすべて地元で栽培されたもので、材料の段階から品質を確保したという。「粒が小さすぎるものは使えません。十数人の村民が約30日かけて、ようやくこの『龍』を完成させました」と呉氏は語った。初めて制作した昨年は40~50日ほどかかったが、その際に「龍の骨組み」に番号を付け、分解して繰り返し使えるようにした。今年もこの方法を採用したことで、制作期間を大幅に短縮できたという。

この「巨大トウモロコシ龍」のアイデアは、何もないところから生まれたものではない。西逓では古くから、収穫した農作物を天日干しする「晒秋」の習慣が代々受け継がれてきたほか、「板凳龍(長いベンチをつないで龍に見立てる民俗芸能)」や「魚灯(魚の形をした灯籠を使う民俗芸能)」などの伝統も受け継がれている。

今年はさらに、「龍の胴体」の下に新たな作品が加わった。五穀や緑の植物を使って、中国北宋時代の名画「千里江山図」を描き出したものである。「黄山はもともと、豊かな自然に恵まれた土地です。農家の人々がその季節の収穫物を使い、古い牌坊の下に名画『千里江山図』の青緑山水の世界を再現しました」と呉氏は語った。

この「巨大トウモロコシ龍」は、単なる農村のアート作品ではない。黄氏によると、約1か月間の展示が終了した後、トウモロコシはすべて取り外して回収し、黄山市の黒鶏の保存・繁殖施設に運び、飼料として加工する。穀物を一粒も無駄にしないという。

「西逓は世界文化遺産の地であり、安徽省南部に根付く徽州文化を受け継ぐ重要な地域の一つでもあります」と、徽州文化研究院の研究員、胡時浜(Hu Shibin)氏は指摘した。穀物を使って龍の形を作ることは、長い歴史を持つ農耕文明の伝統を受け継ぐだけでなく、古村落に現代的な活力を吹き込むものでもある。観光客は、こうした郷土に根ざした創意工夫を通して、文化への共感や精神的なつながりを感じることができるという。(c)東方新報/AFPBB News