【三里河中国経済観察】世界一流から「双循環」の戦略拠点へ、天津港の強みとは

05月22日 16:00


天津市に位置する天津港=提供写真(c)CNS


【5月22日 CNS】渤海湾(Bohai Bay)の朝、世界初の「スマート・ゼロカーボン」埠頭では、青色の人工知能水平搬送ロボット(ART)が自律走行し、天津市(Tianjin)に位置する天津港の新たな一日はすでに忙しく始まっている。

天津港は「一帯一路(Belt and Road)」の海上ルートと陸上ルートが交わる地点であり、新ユーラシア・ランドブリッジ経済回廊の重要な結節点でもある。2025年11月に採択された「天津市第15次五か年計画の策定に関する中国共産党天津市委員会の提言」では、天津港について「世界一流のスマート・グリーン中枢港の建設を加速する」と明確に位置づけた。さらに重要なのは、「中国北方地域が国内・国際の双循環を結ぶ重要な戦略拠点を築く」という表現だ。「中枢」と「拠点」という二つの言葉が、天津港の新たな役割を描き出している。百年の歴史を持つこの大港は今、静かに重要な転換を遂げつつある。

天津港は中国の重要な近代的総合港であり、世界有数の人工深水港でもある。埠頭は30万トン級に対応し、航路の水深はマイナス22メートル、各種バースは220以上に上る。主に北疆、東疆、南疆、大沽口、高沙嶺、大港の6港区で構成されている。100年以上の蓄積を経て、現在の天津港には大きな変化が起きている。「天津港総体計画(2024~2035年)」によると、天津港は「世界一流の大港」から「世界一流の強港」への転換を目指す。

2035年までに、天津港のコンテナ取扱能力は3500万TEUに達し、現在の能力から質的な飛躍を遂げる見通しだ。北疆、東疆、南疆の各港区はそれぞれコンテナ輸送、クルーズ輸送、国家エネルギー資源輸送に重点を置き、北方国際海運中核区の主要な担い手となる。この配置により、港と背後にある産業チェーンとの結びつきはさらに強まる。

天津港の特徴は、二つの方向に開かれていることにある。西へはユーラシア大陸の内陸部へ深く入り込み、東へは世界の海へとつながっている。国内向けには、天津港は雄安新区へのグリーン通路を開設し、海上・鉄道複合輸送の列車は北京市や石家荘市(Shijiazhuang)へ直通している。毎年、京津冀(北京市・天津市・河北省<Hebei>)地域の貨物1億トン超を取り扱っており、京津冀協同発展にとって最も直接的な海への出口となっている。

海外向けには、天津港は150本のコンテナ航路を持ち、世界180以上の国・地域、500以上の港をカバーしている。新たに開設された北米、南米東海岸などへの直航航路により、中国製の新エネルギー車や高端装備はここから直接世界へ向かうことができるようになり、「中国製造」により便利な海外輸送ルートを提供している。

陸海連携輸送も強い。天津は中国で最も早くランドブリッジ国際列車を開通させた沿海港湾都市の一つで、輸送量は長年、沿海港の上位にある。2025年、天津口岸から出発した中国欧州・中国中央アジア班列(中欧・中亜班列)の輸送量は7万TEUを超えた。今年の全国人民代表大会の政府活動報告では、「一帯一路」の質の高い共同建設を進める方針が示され、共同建設国との戦略的連携を強め、「ハード面の連結」「ソフト面の連結」「人々の心の連結」を着実かつきめ細かく進めることが求められた。天津港も国家戦略に貢献する中で、自らの強みを積極的に発揮している。

現在、天津港は「二つのランドブリッジ、三つの通路、四つの口岸」からなる輸送ルートの枠組みを形成している。内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)エレンホト市(Erenhot)、満洲里市(Manzhouli)、阿拉山口市(Alashankou)、新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)コルガス市(Khorgos)などの口岸(通関拠点)を通じて欧州や中央アジアと結ばれており、このネットワークによって天津港は「一帯一路」の海陸ルートを結ぶ重要な結節点となっている。

注目すべきは、天津港がスマート化の転換を進め、単なる通過型の経済から港湾経済へと飛躍しつつあることだ。ここではAI技術が、労働集約型で効率が低く、消耗の大きかった従来の埠頭作業を変えている。自動化ガントリークレーンが大型船からコンテナを正確に降ろし、人工知能水平搬送ロボットが自ら走行ルートを判断している。

天津港の発展データも印象的だ。2024年の貨物取扱量は5億7900万トン、コンテナ取扱量は2329万TEUで、それぞれ世界の港湾で10位、8位に入った。2025年には貨物取扱量が5億9000万トン、コンテナ取扱量が2403万TEUとなり、全体として安定しながら前進する発展傾向を保っている。成長の背後にあるのは効率化の革命だ。港湾向け大規模AIモデル「PortGPT1.0」の登場は、港湾のスマート化が新たな段階に入ったことを示している。

産業と都市の新たな融合、港は都市の性格をどう変えるのか。天津では、港、産業、都市が深く融合する発展の動きが進んでいる。港湾・産業・都市融合発展行動案のもと、天津港保税区には3万社以上の外資系企業が進出し、低空経済、航空宇宙、バイオ医薬、水素エネルギーなどの戦略的新興産業が次々と根を下ろしている。

浜海新区は港湾・産業・都市融合の主戦場だ。2024年には国家級の「チェーン主導企業」3社と市級の「チェーン主導企業」15社を育成した。グリーン石油化学、海洋工学装備、穀物・油脂加工など、港に適した五大産業の生産額は5070億元(約11兆7208億円)に達した。港と都市の相互作用にも新たな姿が見えている。2025年、天津国際クルーズ母港では、運航再開後初めて3隻のクルーズ船が同時に接岸した。これは天津のクルーズ産業が全面的かつ秩序立って回復していることを示すだけでなく、京津冀地域の文化観光経済の質の高い発展にも新たな活力を注いでいる。

海河のほとりに世紀鐘の鐘の音が響くとき、時計盤には漢字で書かれた「天津」と、欧風のデザイン、ローマ数字、アラビア数字が調和して並ぶ。それは、この都市が世界とともに歩んでいることを物語る象徴でもある。天津港のデジタル・スマート埠頭は昼夜を問わず稼働し、無人運転のコンテナトラックが決められたルートを往復している。その背後には、華北平原の産業集積と、「一帯一路」沿線の広大な市場がつながっている。

この百年港は、もはや単なる貨物の集散地ではない。地域経済を動かし、世界のネットワークと結びつく戦略拠点として、双循環の枠組みの中で新たな発展空間を切り開いている。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News