仏紙ルモンド社長が辞任、電子版めぐり編集幹部から反発

05月15日 16:58


フランス・パリ(Paris)で、写真撮影に応じる仏紙ルモンド(Le Monde)の社長に就任したナタリー・ヌゲレード(Natalie Nougayrede)氏(2013年3月7日撮影)。(c)AFP/MIGUEL MEDINA


【5月15日 AFP】フランスの有力日刊紙ルモンド(Le Monde)のナタリー・ヌゲレード(Natalie Nougayrede)社長が14日、電子版の強化方針をめぐって編集幹部の大半から反発を受けたことを理由に辞任を発表した。

 ルモンドでは先週、電子版の戦略に関する経営陣の説明が不十分だとして編集幹部が集団で辞任。9日には、ヌゲレード氏と同様に編集部からの反発を受けていた2人の副社長も辞任するなど、社内が混乱に陥っている。

 ヌゲレード氏は書簡で、辞任の理由を「平穏な心」で職務を全うすることができなくなったためと説明。「ルモンドの社長として軽んじられる事態は容認できない」と述べた。

 1944年創刊のルモンドは、フランスを代表する中立系の日刊紙で、米当局に訴追された米中央情報局(CIA)元職員、エドワード・スノーデン(Edward Snowden)容疑者による機密文書の暴露に関する報道では中心的な役割を果たした。しかし近年はデジタル化の波に押されて発行部数が伸び悩んでいる。

 ヌゲレード氏はルモンドで記者として長く活躍した人物で、昨年3月、前社長の急死に伴い社長に就任した。だが、内部の情報筋がAFPに語ったところによると編集部内では「話が通じない人物」として不満がつのっていたという。(c)AFP