■劇的な崩壊と断絶なければ英国は今も地続き

「氷河期が終わり、海水面が上昇し、谷底に水が絶え間なくあふれ出した結果、英国と欧州本土は物理的に切り離されてしまった」

「こうした劇的な崩壊と断絶が起きなければ、英国はまだ欧州の一部だっただろう。これこそ最初の欧州からの離脱、ブレグジット(Brexit)1.0だ。このブレグジットは、国民投票によるものではないが」とグプタ氏は述べている。

 氷河湖がイギリス海峡を形成したという仮説は100年前に最初に提唱されたが、その後は思うような進展がみられなかった。だが今回の最新研究では、この氷河湖説を裏付けるような新たな証拠が見つかっている。

 大きな手掛かりは、イギリス海峡の海底岩盤で発見された巨大な穴から得られた。最大で直径数キロ、深さ100メートルに達するこれらの奇妙なくぼみは、内部が砂利と軟質の砂の堆積物で満たされている。