【11月8日 CGTN Japanese】中国初となる、AI(人工知能)の利用に伴うリスクを包括的に補償する保険プランが、2026年金融街フォーラム年次総会で発表され、注目を集めています。

AIは現在、幅広い業界で活用されていますが、データの計算を誤ったり、顧客に不正確な説明をしたりするリスクもあります。今回のプランは保険商品を通じて、AIサービスが第三者に与えた損害と、AIサービスの提供事業者自身に生じた費用負担の双方を補償するもので、中国国内のAI保険市場の空白を埋める狙いがあります。

このプランは中国人民財産保険が発表しました。その背景の一つには、今年9月に中国最高人民法院が公表した「人工知能に関連する紛争の審理に関する意見」があります。同意見は、関連する紛争について「AIが生成したコンテンツである」ことを理由に責任を免れることはできないと明確にしました。つまり、AIが引き起こした問題についても、何らかの責任主体が責任を負う必要があります。

AIを利用する企業側では、AI音声カスタマーサービスを導入している広東省深圳市の企業が、現時点での主なリスクとして、音声やコンテンツの利用許諾と、生成内容の正確性・コンプライアンスの2点を挙げています。同社はこうしたリスクに備え、AIカスタマーサービスに対して、補償額が合計100万元(約2370万5200円)を超える保険に加入しました。

一方、AIサービスを提供する企業側では、農産物の調達に使われるAIエージェントを運営する中国企業が、AIによる処理である以上、データの正確性を完全には保証できず、顧客も利用に慎重になっていると説明しています。保険に加入することで、AIモデルによる価格算定のずれから生じた費用の一部を保険会社が負担できるようになります。

中国の人工知能中核産業の規模は2025年に1兆2000億元(約28兆4000億円)を超え、2026年には前年比30%以上の成長が見込まれています。企業にとって保険は、事故発生後の損失を軽減するだけでなく、AI製品に対する顧客の信頼を高める効果も期待されています。

中国の業界関係者は、AI保険はまだ始まったばかりで、解決すべき課題も多いと指摘しています。例えば、AI技術は更新のペースが速く、利用される場面も複雑です。そのため保険会社には十分な過去のデータがなく、リスクの発生確率や発生した場合の損失規模を正確に評価することが難しい状況にあります。

中央財経大学の中国保険数理・科学技術実験室主任、陳輝氏は、AI保険は事故後の保険金支払いにとどまらず、企業が事前にリスクを発見し、損失を減らすことを支援する方向へ発展させるべきだと指摘しています。また、データセキュリティーやプライバシー保護といった新たなリスクにも目を向ける必要があるとしています。(c)CGTN Japanese/AFPBB News