【10月28日 AFP】サッカーフランス代表のキリアン・エムバペ選手(レアル・マドリード、27)は、中国建国の指導者、毛沢東を「独裁者」と呼んだとみられる発言について謝罪したが、中国のSNS上では怒りの声が収まっていない。

毛沢東の死から半世紀が過ぎた今も、中国で毛沢東をやゆする言動はタブーとされている。

発言後、複数の中国企業はエムバペ選手との協力関係を打ち切り、国営テレビもスペイン1部リーグ、ラ・リーガの試合中継を停止した。

エムバペ選手は動画で、自身を使ったネット上のミーム画像で最も面白かったものは、「自分の顔が誰かの体に合成されたもの。確か中国の独裁者だったと思う」と発言した。

「中国の独裁者」は毛沢東を指すものだと受け止められた。

中国ではSNSが厳しく統制されており、エムバペ選手の元の発言は転載されていないか、転載されたとしてもすでに削除されている。

国営メディアも毛沢東への言及を避け、エムバペ選手が「中国に関する不適切な発言」をしたと報じている。

エムバペ選手は27日、フランス語、中国語、英語での声明で、「私の発言は軽率だった。中国や世界各地の中国系コミュニティーの多くの人々を傷つけたことを今は理解している。私の言葉で不快な思いをさせたすべての人に謝罪する」と述べた。

だが、中国のSNSでは28日もエムバペ選手を批判する投稿があふれ返った。

中国の短文投稿サイト微博(ウェイボ)では、あるユーザーが「彼の発言は中国と中国人民を傷つけるものだった。だから翻訳できないんだ」と投稿した。

中国のSNS「小紅書」は、100万人以上のフォロワーを抱えるエムバペ選手のアカウントに制限をかけ、新たなフォロワーを獲得できないようにした。

微博でも同様の措置が取られ、「法律または微博コミュニティ規約への違反により、このユーザーをフォローすることは禁止されています」との通知が表示される。

いくつかの中国メディアは、仏高級ブランドのディオールやスイスの高級時計ブランド、ウブロなどの世界的企業が、微博から自社のエムバペ選手に関連するコンテンツを削除したと報じた。

AFPがディオールとウブロの微博公式ページでエムバペ選手の中国語表記を検索したところ、結果は表示されなかった。

実店舗でも、エムバペ選手に関連する商品が撤去されているとみられる。

AFPが北京の三里屯商業地区にあるスポーツ用品大手アディダスの旗艦店を訪れたところ、レアル・マドリードのユニホームは販売されていたが、エムバペ選手の名前が入ったものはなかった。

一方、通販アプリ「淘宝(タオバオ)」では、非公式のユニホームやニット帽、キャップなど、エムバペ選手の関連商品が引き続き販売されている。

エムバペ選手はこれまで、中国国営メディアから「サッカー界の超新星」「逸材」などと称賛され、中国のファンから深く愛されてきた。

同選手の顔は、屋外広告やスポーツドリンクのパッケージ、SNS上など、至る所で見られる。

エムバペ選手は、アニメ「ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ」のキャラクターになぞらえたインターネット上のミームで人気を集めたことから、「亀亀(グイグイ)」の愛称で親しまれている。(c)AFP