■アプリからも情報漏えい

昨年にはノルウェーの首都オスロとその周辺地域で公共交通機関を運営する「ルーター」が実施した中国のバスメーカー、宇通客車製の電気自動車(EV)バスの試験で、メーカー側が無線通信によるソフトウエア更新システムを使い、理論上は遠隔操作で車両を乗っ取ることができると判明した。

ノルウェーでは有事の際、こうしたバスが住民の避難に使われる可能性がある。

ルーターによると、その後、ソフトウエアの更新を管理するため、外部から送られてくる信号を監視し、受信を遅らせることができる仕組みを導入した。

「トロイの木馬」として利用される可能性があるのは、コネクテッドカーだけではない。

スマートウオッチや、ジョギング愛好家に人気のアスリート向けフィットネスSNSアプリ「ストラバ」なども、軍事機密に関わる情報を漏えいさせる可能性がある。

2018年には、ストラバが公開したデータから、特にアフガニスタンやシリアにある軍事施設の位置や兵士らの移動経路を特定できることが判明した。

今年3月には、フランス紙ルモンドが、乗組員による同アプリの使用を手掛かりに、地中海東部に展開していたフランスの空母シャルル・ドゴールの位置をほぼリアルタイムで特定することができた。

ノルウェー国家安全保障局(NSM)は、現代の車両は「情報を収集しながら走るコンピューター」だと指摘する。

NSMのアンドレアス・シェルロランゲ氏はAFPに対し、「情報がどこに送られ、何に使われているのか、確かなことは分からない」と述べた。

デジタル分野を含む戦略的リスクの低減を担うNSMは、収集されるデータそのものだけでなく、特定の国への過度な依存にも警鐘を鳴らしている。

特に、安全保障問題でノルウェーと協力関係にない国への依存には注意が必要だという。

シェルロランゲ氏は「特定の国のサービスや製品に依存しすぎれば、それがどの国であっても、われわれは脆弱(ぜいじゃく)になる」と述べた。(c)AFP