中国の若者、パンに「中国らしさ」
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【10月19日 東方新報】第48回技能五輪国際大会が9月22~27日に国家会展センター(上海)で開催され、約70の国・地域から約1400人の選手が参加した。
大会を前に、パン製造部門の指導チーム責任者を務める龔鑫(Gong Xin、※漢字が表示できない場合は「ゴンシン」と表記をお願いします)氏は、競技テーマの「午年」をどうパンで表現するかに頭を悩ませていた。馬だけでは単調になり、中国の伝統的な故事を取り入れても海外の人には伝わりにくい。さらに、動きや楽しさも表現する必要があった。そこで龔氏が思い出したのが、子どものころ誕生日に食べたデコレーションケーキだった。
亥年生まれの龔氏は、誕生日になると毎年、子ブタをかたどった昔ながらのケーキをもらっていた。その幸福感を形にしようと考え、傘の上に立つパンダが春節(旧正月、Lunar New Year)を迎え、手には駿馬をかたどった中国の伝統的な影絵人形を操る作品を完成させた。周囲には金塊を模した「元宝」やタケノコを配し、中国らしい祝いの雰囲気を表現した。
龔氏が世界レベルの技能大会に挑戦するのは今回が初めてではない。2017年、アブダビで開催された第44回技能五輪国際大会では、パン製造が初めて正式競技に採用された。当時21歳だった龔氏は中国国内選考で全国6位となった。その後は、芸術性の高いパン作品の制作に力を注いできた。
2020年のベーカリー・ワールドカップ決勝では、「平和の使者――音楽パンダ」と題した作品を制作した。珍しい逆三角形の構造を採用し、パンダを中心に、中国の伝統楽器「嗩吶(スオナ)」などを組み合わせた。パンダが片足で立ちながら作品全体を支え、足元には中国の吉祥文様である雲を表現した。
この大会で龔氏らのチームは初優勝を果たし、中国チームとして初めてベーカリー・ワールドカップの表彰台に立った。龔氏によると、競技終了後、高さ1.6メートルの作品を会場から運び出そうとした際、日本チームの選手が自ら手伝いに来て、技術についてさまざまな質問をしたという。「わずか2カ月でどうやって新しい作品を作り、さらに技術的な進歩まで実現したのかと聞かれた。私たちを尊敬に値するライバルだと思ってくれた」と振り返る。
2023年には世界パン大会にも出場し、チベット高原などで栽培される穀物「青稞(ハダカムギの一種)」に注目した。日照条件や緯度の違いによって、製粉すると灰色や淡い青、淡い紫などさまざまな色合いになり、パン作りにも独特の表現を加えられるという。
技能五輪国際大会では、龔氏だけでなく、多くの中国の若者が伝統文化や中国らしい要素をパン作りに取り入れてきた。2017年には、当時22歳だった蔡葉昭(Cai Yezhao)氏が第44回技能五輪国際大会のパン製造部門で金メダルを獲得した。中国にとって同部門で初の金メダルとなった。
作品は100点を超えるパーツから構成され、ウミガメや貝殻、船の舵、クラゲ、麦の穂、わらなど、さまざまな意味を持つモチーフを取り入れた。蔡氏は「例えばウミガメは、パンが西洋から海を渡って中国に伝わったことを象徴している。私たちも海を渡って世界大会の舞台に立ち、中国のパン作りの技術を世界に披露した」と説明する。
それから7年後、フランス・リヨンで開催された第47回技能五輪国際大会のパン製造部門では、蔡氏の教え子で、当時22歳だった李駿飛(Li Junfei)氏が金メダルを獲得した。
李氏は、中国の伝統建築に使われる、部材の凹凸を組み合わせて接合する「ほぞ組み」の構造を取り入れ、高さ80センチの「エッフェル塔」をパンで制作した。ネット上では「パン職人になった建築家」と冗談交じりに称する声も上がった。
近年、中国の選手は国際的なパン・菓子製造の大会で相次いで実績を上げている。中国各地では「ベーカリー教室」を掲げる店舗も増えている。業界関係者は、中国のベーカリー市場はいま急速な成長期にあるとして、今後さらに多くの若者が業界に加わり、中国ならではの食文化やアイデアを世界の舞台へ発信してほしいと期待している。(c)東方新報/AFPBB News