【10月17日 東方新報】日本の人気キャラクター「ちいかわ(Chiikawa)」が、中国各地で地域文化を取り入れた限定企画を展開している。

9月25日から11月23日まで、北京市・朝陽合生匯では「ちいかわ」のポップアップストアが開設されている。約150平方メートルの店内では、ぬいぐるみや文房具、ブラインドボックスなどの関連商品が販売されている。

北京限定の「京韻脊獣」シリーズは、中国の伝統建築の屋根に並ぶ神獣をモチーフにした商品だ。ちいかわ、ハチワレ、うさぎ、モモンガがそれぞれ獬豸、獅子、押魚、斗牛をモチーフにした姿で登場している。いずれも、中国の伝統建築の屋根に配置される神獣を題材としたものだ。

中国古代の建築では、建物の格式によって屋根の形や装飾にも違いがあった。「廡殿頂」や「歇山頂」は、その中でも格式の高い屋根形式で、主に宮殿や寺院などに用いられた。

廡殿頂は、屋根の最上部を横に走る1本の「正脊」と、そこから四隅に向かって伸びる4本の「垂脊」から構成されるため、「五脊頂」とも呼ばれる。これらの屋根の稜線には、小さな動物や神獣をかたどった装飾が並べられており、魔よけや火災防止、吉祥を願う意味が込められていた。

こうした屋根上の神獣は「五脊六獣」や「屋根走獣」などと呼ばれ、中国の伝統建築を特徴づける装飾の一つとなっている。

代表的なものには、龍、鳳凰、獅子、天馬、海馬、狻猊、獬豸、押魚、斗牛、行什などがある。配置される数は通常奇数で、並び順にも一定の規則がある。装飾としてだけでなく、それぞれに吉祥や厄よけなどの意味が込められている。例えば、狻猊には家を守る、斗牛には洪水を防ぐ、獬豸には善悪や忠奸を見分ける、龍や鳳凰には吉祥をもたらす、押魚には火災を防ぐといった意味があるとされている。

一方、広東省(Guangzhou)広州市(Guangzhou)では9月、「ちいかわ」の公式テーマショップがオープンした。こちらでは中国武術をテーマに、ちいかわ、ハチワレ、うさぎが木人樁の前で馬歩(まほ)の構えを取るデザインが採用されている。

中国武術には「南拳北腿」という言葉があり、広東では南拳を中心とする「南派武術」が地域を代表する武術として知られている。明末清初から清末にかけては、洪家拳、劉家拳、蔡家拳、李家拳、莫家拳、詠春拳、蔡李佛拳など、さまざまな流派が生まれた。広東の武術は、単なる格闘技として発展しただけでなく、獅子舞や龍舞、粤劇(広東語で演じられる伝統演劇)などの伝統芸能、さらに養生法や医術とも深く関わりながら発展してきた。こうした要素が組み合わさることで、広東独自の武術文化が形成された。

広東省仏山市(Foshan)は武術文化で知られ、武術家・黄飛鴻(Wong Feihung)の「仏山無影脚」、葉問(イップマン、Ip Man)の詠春拳、ブルース・リー(Bruce Lee)の截拳道などとも関わりが深い。

上海市でも9月、「CHIIKAWA DAYS上海特別展」の中国本土初開催となる展覧会が、大型商業施設の静安嘉里中心JAKCで一般公開された。「ちいかわ弄堂風味」エリアでは、上海の伝統的な集合住宅「石庫門」が並ぶ路地を背景に、ちいかわたちが上海を代表する料理をモチーフにした姿で展示されている。モチーフとなったのは、焼き小籠包のような「生煎包」、肉あん入りの月餅「鮮肉月餅」、カニみそやカニ肉を使ったスープ入りの包子「蟹粉湯包」、蝶の形をしたパイ菓子「蝴蝶酥」、豚肉を甘辛く煮込んだ「紅焼肉」などだ。

北京では伝統建築、広州では武術、上海では食文化と、「ちいかわ」は各地域の特色を取り入れた企画を展開している。日本発のキャラクターIPと中国の地域文化を組み合わせた事例として、今後の展開も注目される。(c)東方新報/AFPBB News