■「溶け込みたいだけなのに」

しかし、この制度が残した負の遺産は、今後数年間にわたって社会に色濃く残ることが確実視されている。

経済協力開発機構(OECD)のデータによると、オーストリアは該当学年の想定年齢よりも「2歳以上年上」である超過年齢児童・生徒の割合が他国と比べて高い。

2015年から2023年にかけて、こうした超過年齢児童・生徒の割合は小学校で4.1%から5.8%、中等学校で6.5%から9.1%へと跳ね上がっている。

昨年度の時点で、ドイツ語集中指導の受講を義務付けられたいわゆる「非正規児童・生徒」は全国で約6万人に達した。首都ウィーンの小学校に至っては、5人に1人が非正規児童・生徒だった。

移民や難民の社会統合を支援する「オーストリア統合基金(OeIF)」の統計によると、ドイツ語集中指導の受講生の35%がシリア出身、27%がウクライナ出身だった。

2022年のロシアによるウクライナ侵攻開始時に首都キーウから避難してきたウクライナ人男子生徒のマカリーさん(16)は、「新しい学校に着いた時、僕らはただクラスに溶け込みたかった」「せっかくグループで時間を過ごしてもすぐばらばらにされ、友達をなくし、通常クラスの先生たちさえ分からないままになってしまう」と語った。

オーストリア教育省が実施した直近の調査によると、2022~23年度に非正規児童・生徒と判定された2万2800人のうち、22%が1回留年、3%が2回留年した。

クリストフ・ビーダーケア教育相はオーストリア通信(APA)に対し、非正規児童・生徒の留年割合について「あまりにも高過ぎる」と述べた。