【8月30日 AFP】中国との国境付近で土石流と洪水が発生してから数日が経過する中、泥のぬかるみと化したネパールの村に戻ったシャンティ・ラミチャネさんは、果物箱に腰掛け、大きく被災した自宅を眺めていた。

被災地では、生存者たちが村に戻り、わずか数分で流されてしまった所持品や書類、そして生活の断片を探し求めている。

ラミチャネさんは、自宅に戻るための道で行われている、ブルドーザーによる泥やがれきの除去作業が終わるのを待っている。

「被災した自宅から物をいくつか回収したい。でも、それだけではない。私の思い出もすべてそこにある」とAFPに語った。

災害発生前、ラミチャネさんが暮らしていたドゥンゲ村の世帯数は約150だった。

米地質調査所(USGS)によると、26日朝に中国とネパールの国境付近で発生したこの災害は氷河崩壊が原因だった。下流へと押し寄せる氷の濁流は、その圧倒的な力で巨岩をも巻き込みながら、地域を南北に貫く形で被害をもたらした。

30日朝の時点で、被災したネパールおよび中国側の行方不明者は合計で3000人近くに達し、691人の遺体が収容された。

発災から数日が経過し、身一つでの避難を余儀なくされた被災者たちは、自身の所有物を回収するため、そしてかつての自宅の状況を確認するため、それぞれの村に戻り始めている。

ヌワコット郡デブガートの村に戻ったハリ・プラサド・リマルさんは、貴金属や現金などを回収したかったのだとし、一緒に娘の写真も見つけることができたと話した。

「水に浮いていたタンスに貼られていた」と言い、「他に回収できたものは何もなかったが、あの写真もとても大切なものだった」と続けた。

リマルさんは、村から数キロ上流の場所で倉庫業を営んでいたが、ボランティアがドローンで撮影した画像で確認すると、そこにはもう泥とがれきしか残っていなかったという。

「倉庫はなくなってしまったが、文句を言うべきではないのかもしれない。少なくとも、家族全員が生き残ったのだから」とAFPに語った。