【8月22日 AFP】欧州連合(EU)での感染症の予防・対策強化を担う欧州疾病予防管理センター(ECDC)は21日、今年これまでに欧州12か国で蚊媒介性感染症「ウエストナイル熱」の市中感染(国内感染)が確認されたと発表し、欧州各国に対して蚊の防除能力強化を呼び掛けた。

ウエストナイルウイルスに感染した人の約8割は無症状だが、発症した場合、インフルエンザに似た症状が現れる。重症化すると、震え、高熱、昏睡(こんすい)、さらには脳炎・脳脊髄炎などの症状が現れる。

ECDCによると、市中感染は、アルバニア、オーストリア、フランス、ドイツ、ギリシャ、イタリア、コソボ、オランダ、北マケドニア、ルーマニア、セルビア、スペインの12か国、99地域で確認された。21地域で初めて市中感染が確認された。

前年同期に市中感染が確認されたのは、9か国67地域だった。

症例数が最も多いのはイタリアの311例で、ギリシャの157例が続く。

ECDCで食品媒介・水系・ベクター媒体・人獣共通感染症の責任者を務めるセリーヌ・ゴスナー氏は声明で、「ウエストナイルウイルスの感染拡大と外来種の蚊の拡散は、欧州が蚊の防除能力を強化しなければならないことを示している」と指摘。

さらに「効果的な蚊の防除には、欧州域内での密接な協力と、蚊の監視、地域社会の関与、環境への影響を考慮し標的を絞った蚊の防除を組み合わせた統合的なアプローチが必要だ」と述べた。

欧州では感染例の多くが晩春から秋にかけての「蚊のシーズン」に発生し、7~9月にピークを迎える。

世界保健機関(WHO)によると、ヒト用の承認済みワクチンや特効薬は存在しない。

治療は対症療法に限られる。

ウエストナイルウイルスを媒介するイエカはすでに欧州全域に広く生息しているが、デング熱やチクングニア熱を媒介する外来種のヒトスジシマカについても、現在は12年前の2倍となる欧州16か国で定着が確認されている。(c)AFP