【8月21日 AFP】ベルギーのヘント大学は20日、先週死亡した英ケンブリッジ大学の元教授で黒人のジェイソン・アーデイ氏に対する論文盗用疑惑の追及を主導していた米国人研究者ネイサン・コフナス氏を停職処分にした。

コフナス氏は、2024年に人種差別疑惑によりケンブリッジ大のカレッジでの研究員としての活動を終了した経験を持ち、自らを「人種リアリスト」と定義している。

同氏はX(旧ツイッター)に、「ヘント大学から停職処分を受けた。まず間違いなく解雇されるだろう」と投稿した。

ヘント大学は声明で、コフナス氏の名前を直接挙げることなく、アーデイ氏の騒動の渦中にあるポストドクター研究者に対して「予備的な懲戒調査」を開始し、「予防的措置として」この研究者を停職処分にしたと発表した。本件において正式な懲戒手続きを開始する十分な根拠があるかどうかを現在「評価中」だとしている。

2023年にケンブリッジ大で黒人として史上最年少で教授に就任したアーデイ氏は、博士論文の一部を盗用した疑惑や私生活での実績の誇張疑惑に対する追及が強まる中、14日にロンドン南部の自宅で遺体で発見された。

幼少期に自閉症などの発達障害と診断されたアーデイ氏は、論文盗用疑惑などを否定していた。

だが、ケンブリッジ大が論文盗用疑惑などの調査を開始した直後の8月5日、アーデイ氏は同大の教授職およびジーザス・カレッジのフェローを辞任すると発表。辞表に「人が合理的に耐えることを期待される限界に達した」と記していた。

アーデイ氏の論文盗用問題は数年前に浮上したが、当時は調査が進まなかった。同氏が法的措置を取ると警告したため、調査継続を断念した記者もいる。

だが先月、コフナス氏がアーデイ氏の博士論文について、非常に多くの箇所が別の論文から盗用したものだと指摘したことで、この問題は雪だるま式に大きくなり、英米のメディアで広く報じられることになった。

英国の右派(保守)メディアやコメンテーターが論文盗用疑惑を取り上げ、アーデイ氏が多様性・公平性・包括性(DEI)を推進する取り組みから不当に利益を得ていたと批判していた。

ヘント大学は19日の学長と副学長による声明で、アーデイ氏の死に「衝撃を受けた」とし、同氏に関する所属研究者による公式発言を「極めて深刻に受け止めている」と述べていた。

さらに、「ヘント大学は人間の尊厳の尊重を支持し、差別、憎悪、人種差別に反対する」と強調。

「本学は学問の自由と開かれた学術的討論を非常に重視している。たとえ見解が物議を醸すものであっても同様だ」「しかし、その自由は無制限ではない。責任を伴うものであり、他者の権利を守るために制限される場合がある」と付け加えた。(c)AFP