肌の色による差別は他の人種差別と「似て非なる」 英国初の黒人女性議員
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【7月18日 AFP】英国初の黒人女性国会議員で、左派の象徴的存在でもあるベテラン政治家ダイアン・アボット氏(71)が17日、人種差別に関する物議を醸す発言を繰り返したことで、与党・労働党から再び党員資格停止処分を受けた。
アボット氏はBBCに対し、「肌の色に関する人種差別を他の種類の人種差別と同じだと主張するのは愚かだ」と述べた。
労働党の広報は、「ダイアン・アボット氏は調査のため、労働党から党員資格停止処分を受けた。調査中なので、これ以上はコメントできない」と述べた。
アボット氏は党内で多くの尊敬を集めており、2010年には党首選にも出馬した。
だが、2023年に高級日曜紙オブザーバーに宛てた手紙の中で、アイルランド人やユダヤ人、旅行者が「偏見の目を向けられる経験をするのは確かだ」が、それは人種差別とは「似て非なるもの」にすぎないと主張し、激しい非難を浴びた。
アボット氏はさらに、「白人にはさまざまな人がいて、赤毛など多様な特徴があるにもかかわらず、こうした偏見の目を向けられる経験をするのは事実だ。だが、彼らは生涯を通じて人種差別にさらされるわけではない」と付け加えた。
極左のジェレミー・コービン前党首の盟友でもあるアボット氏は、1年以上にわたり党員資格停止処分を受けていた。
だが、2024年7月の総選挙で、ハックニーノース&ストークニューイントン選挙区から労働党の公認候補として出馬を認められ、再選された。
アボット氏は問題の発言を撤回し、「不快に思われた方がいたらおわびする」と謝罪していたが、17日に放送されたBBCのインタビューでも同様の主張を展開。
「肌の色に関する人種差別と、他の種類の人種差別を区別しなければならないのは明らかだ。なぜなら、旅行者やユダヤ人が通りを歩いているのを見ても、話しかけたり、同席したりしない限り、彼らが旅行者やユダヤ人だとは分からないからだ」と述べた。
コービン氏も党首だった2020年、党内で反ユダヤ主義がまん延したという主張に関する人権監視団体の調査結果を全面的に受け入れるのを拒否したため、党員資格停止処分を受けたことがある。(c)AFP