■安全保障の多層化

中東紛争が始まって以来、サウジは紛争の仲裁と解決を推進するトルコ、エジプト(国教のイスラム教が90%で大半がスンニ派)、パキスタンとの関係を深めてきた。

英バーミンガム大学でサウジアラビアの外交政策を研究するウマル・カリム氏は今回の連携について、「明らかにイランを意識したものであり、ペルシャ湾岸地域全体の覇権掌握を狙うイランの新たな戦略的アプローチに対抗することを目的としている」と述べた。

イランは国教がイスラム教でシーア派が大多数。

トルコとパキスタンがイランと国境を接しているという事実は、両国がイランに対して「一味違う影響力を行使できる」ことを意味すると付け加えた。

サウジの軍および政府に近い情報筋は署名に先立ちAFPに対し、協定自体は長期にわたり議論されていたものだが、「最近の中東情勢の激化が議論を加速させた」と語った。

キングス・カレッジ・ロンドンのアンドレアス・クリーグ氏は本協定について、米国との同盟に依存せず、同盟関係を多様化させたいという明確な意図を示していると指摘。

「サウジアラビア、トルコ、パキスタンは米国に取って代わろうとしているわけではない」「米国が自らの権限を行使できない、または行使しようとしない場合に備えて、自国の利益を守るための能力を構築している」と付け加えた。

さらに、特にサウジはイラン紛争の衝撃を経て、「単一の米国の傘よりも、複数の安全保障の層を望んでいる」と述べた。

この協定は、中東の安全保障の取りまとめ役となり、防衛の傘を多様化させるというサウジの野望を後押しするものだとクリーグ氏は分析する。またトルコとパキスタンにとっては、政治的影響力の獲得やサウジからの投資誘致の機会につながると付け加えた。

サウジとパキスタンはすでに2025年に相互防衛協定を発表しており、パキスタンがイスラム圏で唯一の核保有国であることから注目を集めていた。(c)AFP