■米国へのシグナル

米シンクタンク「アジア・ソサエティ政策研究所(ASPI)」の政治安全保障担当ディレクターを務めるエマ・チャンレットエイブリー氏は、今回の実験について、「米国やその他の地域大国に対する、中国の軍事力を誇示するシグナルだ」と述べた。

中国は「太平洋地域における米主導の同盟関係が(ドナルド・トランプ米大統領によって)ある程度緊張を強いられている時期に、太平洋地域における権力を固めている」と指摘し、「米国主導の同盟関係という概念そのものを標的にしている」との見解を示した。

トランプ氏とその政権は長年にわたり、北大西洋条約機構(NATO)を含む同盟関係を軽視してきた。トランプ氏は今週トルコで開催されたNATO首脳会議でも、繰り返しNATOを批判した。

米国の歴代政権は、中国への対抗に焦点を大きくシフトさせていくと公約してきたが、その他の紛争(直近では2月後半に米イスラエルが開始した対イラン軍事作戦)によって、アジア太平洋地域から関心が逸れる結果となっている。

米政府は今回のミサイル実験を激しく非難し、国務省は中国の「急速かつ不透明な核兵器の増強は重大な懸念事項だ」として、中国に対して「有意義な軍備管理の議論に応じること」を強く促した。

米シンクタンク「新アメリカ安全保障センター(CNAS)」のシニアフェロー、ジェイコブ・ストークス氏は今回の発射について、中国が「実戦での使用を想定した、より実戦的な実験を通じて、核戦力の三本柱を確固たるものにしようとしている」ことを示していると指摘。

「2024年9月に陸上発射型のICBMが登場し、今回は三本柱のもう一つの柱である海上発射型だ」「このパターンが続くなら、将来的には空中発射型の弾道ミサイルが登場することになるだろう」と述べた。

同氏は「これは中国の核戦力が非常に明確な進展を見せているという点で注目に値する」「ここから発せられるシグナルの一つは、中国が米国やロシアと並び、非常に強力な核戦力を持つ国のカテゴリーに着実に食い込みつつあるということだ」と付け加えた。(c)AFP