【7月6日 東方新報】世界経済フォーラム(WEF)が主催する2026年夏季ダボス会議が6月24日、遼寧省(Liaoning)大連市(Dalian)で開幕した。人工知能(AI)の大規模な実用化と産業への導入が主要な議題となり、複数の分科会では世界の業界リーダーや著名な研究者、国際機関の幹部らが、AI技術の進化や産業の将来について議論し、AIの持続可能な発展に向けた新たな方向性を探った。

現在の世界的なAI投資ブームについて、Archetype AIの共同創業者ブランドン・バーベロ(Brandon Barbello)氏は、「現実世界を対象とするAIは根本的な課題に直面している」と指摘した。インターネット上のデータとは異なり、現実世界の情報は収集が難しく、従来の手法で世界モデルを構築することはできない。そのため、先進企業は限られた物理データから普遍的な法則を学習できる新技術の開発を進め、データ不足という課題の克服を目指しているという。

世界経済フォーラム理事の朱民(Zhu Min)氏は、量子センシングやAIなどの先端技術は研究室で生まれるまでにそれほど時間はかからないが、本当の課題は社会への普及と実用化にあると指摘した。技術そのものは急速に進歩している一方、実際の現場への導入スピードは各国の基盤整備の状況に左右されるとの見方を示した。

フェデックス・エクスプレス(FedEx Express)中国の許宝燕(Xu Baoyan)社長は取材に対し、「多くのAIプロジェクトは業務全体の変革に至っておらず、実用化の成果も限定的だ」と述べた。AIが急速に発展する中で、データの品質やガバナンス、そして実際の利用シーンへの適用力が、AIが研究段階から産業界へ普及するスピードと規模を左右すると強調した。

中国のAI分野における発展も会場で大きな注目を集めた。出席者からは、中国のAI技術の革新スピードや実用化の進展が高く評価されたほか、AIの国際的なガバナンスにおいて中国が果たす建設的な役割への期待も示された。

人材育成サービス企業「Skills Universe」の創業者ピーター・バーセル(Peter Barcell)氏は、「イノベーションとは、誰もが利用できるシステムや製品を生み出し、世界中が技術の恩恵を共有できるようにすることだ。その点で中国は非常に優れた成果を上げている」と述べた。

スウェーデンの通信機器大手エリクソン(Ericsson)のグローバル上級副社長シャフィック・ナシフ(Chafic Nassif)氏は、中国は充実した産業エコシステム、成熟した製造業基盤、そして優れた事業化能力を備えており、現実世界で活用されるAI(フィジカルAI)の実用化に最適な環境が整っていると評価した。また、宇樹科技(Unitree Robotics)や比亜迪汽車(BYD)をはじめとする中国企業の急速な成長が、フィジカルAIの新たな産業エコシステムを活性化させ、中国が次世代AIの大規模実用化競争で優位な立場にあるとの見方を示した。

世界経済フォーラムのアロイス・ツヴィンギ(Alois Zwinggi)会長兼最高経営責任者(CEO)は開幕あいさつで、「中国は世界経済をけん引する主要な原動力であり、製造業とイノベーションの中心でもある。また、技術革新と国際協力への貢献もますます大きくなっている。AIをはじめとする分野での中国の進歩は、世界経済の新たな成長を形作る重要な力となっている」と述べた。(c)東方新報/AFPBB News