【7月6日 CNS】チベット自治区(Tibet Autonomous Region)ダムシュン県。標高4300メートルの高原で、中央企業が投資する新たな太陽熱発電所の建設が始まった。

総出力は太陽熱発電100メガワットと太陽光発電800メガワットを組み合わせた900メガワット規模、総投資額は37億4400万元(約888億6833万円)。中国能源建設(CEEC、中国能健)がチベットで自主投資する初の太陽熱発電プロジェクトであり、この高原地域が新たな発展段階に入ったことを象徴している。

2026年はチベット平和解放75周年に当たる。75年前の1951年5月23日、「中央人民政府とチベット地方政府のチベット平和解放に関する協定」が締結され、チベットの平和解放が実現した。それから75年。チベットは観光地としてだけでなく、中国の国家戦略においても重要性を増している。

その変化は経済指標にも表れている。今年第1四半期(1~3月)の域内総生産(GDP)は778億700万元(約1兆8468億円)となり、実質成長率は前年同期比6.1%だった。この6.1%という成長率は全国平均を1.1ポイント上回り、省・自治区・直轄市の中で全国首位となった。

統計を詳しく見ると、主要経済指標のうち8項目の伸び率が全国トップとなっている。産業基盤や投資、財政収入、住民所得まで幅広い分野で高い成長を示しており、チベット経済は総合的な発展を遂げている。

こうした「全国1位」を支えているのが産業構造の変化だ。特に目立つのは、第1四半期の一定規模以上の工業付加価値額が20.5%、固定資産投資が19.8%それぞれ増加したことだ。これにより、第2次産業の付加価値額は314億600万元(約7454億5909万円)となり、5.2%増加した。

この成長を支えているのがクリーンエネルギー産業である。近年、チベットは豊富な水力、太陽光、風力資源を生かし、国家クリーンエネルギー基地の整備を進めてきた。金沙江上流やヤルンツァンポ川流域では水力発電所や太陽光発電・蓄電プロジェクトが相次いで稼働し、発電した電力は高原地域だけでなく「西電東送(西部で発電した電力を東部へ送る国家プロジェクト)」を通じて工業生産にも貢献している。2025年末時点で、クリーンエネルギーの設備容量は1300万キロワットを超え、発電量に占めるクリーンエネルギーの割合はほぼ100%に達しており、いずれも全国トップとなっている。

固定資産投資が約20%増加した背景には、インフラ整備への継続的な投資がある。国境地域の集落整備や交通網の整備が進み、多くの雇用を生み出すとともに、チベットの地理的な制約の改善にもつながっている。

第1四半期の一般公共予算収入は前年同期比46.2%増、税収も26.8%増となり、いずれも全国トップだった。40%を超える財政収入の伸びは全国的にも極めて高い水準だ。

これは、市場の活力が高まり企業収益やビジネス環境が改善していること、さらに経済構造の高度化が進み、高付加価値産業が成長を支えていることを示している。
経済発展の最終的な目的は住民の暮らしの向上にある。

第1四半期の住民1人当たり可処分所得は前年同期比7.5%増で全国平均を2.6ポイント上回った。都市部住民は6.2%増、農牧区住民は7.8%増となり、それぞれ全国平均を2.0ポイント、1.7ポイント上回った。背景には、高原地域の農牧民の収入源が大きく多様化していることがある。特色ある畜産業や観光業、自然保護に対する補償制度、ライブコマースなど新たな産業が広がり、ハダカムギ(青稞)を使ったビスケットは人気商品となり、チベット様式の民宿は予約が取りにくい状況が続く。「チベットの名水」も海外市場へ輸出されるようになり、住民の生活向上を実感できる成果が生まれている。

チベットの高品質な発展は、高い成長率だけでなく、その成果が住民にも及んでいる点に特徴がある。背景には複数の国家戦略が重なり合っている。一つは、西部大開発や国境地域振興、対口支援(他地域によるチベット支援)など国家戦略の継続的な推進であり、政策、資金、人材が集中的に投入されていることだ。

二つ目は、南アジアとの交流拡大を見据えた対外開放の進展である。チベットは内陸の辺境地域から、南アジアへ向けた重要な玄関口へと位置付けられつつある。

三つ目は、生態系の価値を経済成長につなげていることだ。カーボンニュートラル政策を背景に、豊かな自然環境を生かした炭素吸収源取引やクリーンエネルギー開発、高付加価値の観光産業が発展し、環境を守りながら成長する新たな道を切り開いている。

第1四半期に8項目の経済指標で全国トップとなったことは、高原地域で新たな成長が進んでいることを示している。その背景には、チベットの将来を見据えた長期的な国家戦略がある。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News