■経済成長の大減速

ベトナムの二人っ子政策は1988年に本格導入されたが、隣国中国が2016年まで続けていた子どもを原則1人までに制限する「一人っ子政策」ほど厳格なものではなく、中国のように不妊手術や強制中絶が行われることはなかった。

ベトナムはまだ、韓国や日本のような人口減少スパイラルに陥ってはいない。

女性1人が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率は1.93で、人口を維持するのに必要となる2.1を下回っているが、大半の先進国に比べれば堅調な水準にある。

一方、平均寿命は75歳近くまで伸び、60歳以上が総人口に占める割合は10%を超えた。

政府の予測によると、今世紀半ばまでには、60歳以上が全人口の25%を占めるようになり、総人口が減少に転じる見通しだ。

経済学者らが懸念しているのは、ベトナムの少子高齢化が、高齢化が急速に進んだ先進国よりも「開発のより早い段階」で起きているという点だ。

ベトナムはアジアで最も急速に成長している国の一つでだが、相対的にはまだ貧しい。

ベトナムの1人当たり名目国内総生産(GDP)は約5000ドル(約81万2000円)で、今のベトナムと出生率が同水準だった1980年代初頭の日本の水準(インフレ調整前)の半分にすぎない。

世界銀行は2021年の報告書で、これはベトナムが「多くの先進国が経験したよりも、高齢社会に適応するための時間が短い」ことを意味していると警告。同国が「経済成長の大減速」に直面する前に改革を行える時間は「わずか」しか残されていないと警告していた。