「ベスパ」愛が止まらない ビンテージスクーターを電動に インドネシア
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【6月28日 AFP】インドネシアでスクーターの改造を手がけるヘレット・フラスティオさんが、1957年製のベスパVLを走らせてみると、白い塗装ははがれているものの、あの特有のエンジン音は聞こえず、マフラーからは白い煙も出ていない。
イタリアを代表するスクーター、ベスパへの愛が高じて、フラスティオさんは年代物のベスパを環境に優しい電動スクーターへと改造している。自身が最高経営責任者(CEO)を務める会社「エルダーズ」には、改造済みのベスパがほかにも何台もある。
インドネシアには、燃費の悪い旧式の車やスクーターが多く走っている。同国のベスパ・クラブによると、2022年時点で国内にはおよそ100万台のベスパが存在するという。
「ベスパのデザインは独特で、歴史もあり、ノスタルジックな価値もある。単なる乗り物ではなく、ファッションでもある」とフラスティオさんは語る。
インドネシア運輸省のデータによれば、国内の電動バイクは現在およそ16万台。政府は2030年までにこの数を1300万台に増やす目標を掲げている。
エルダーズも、そうした電動バイクの普及に貢献している。フラスティオさんによると、2021年の設立以来、国内で約1000台のベスパを電動に改造・販売してきたという。
改造後の電動ベスパの航続距離は、フル充電で60〜120キロ。アップグレードされたバッテリーを使えば最大200キロまで走行可能だ。
「この電動ベスパは、バイクの排気ガス削減を目指す国々にとって、一つの解決策になり得る」とフラスティオさんは話す。
■騒音や大気汚染を気にせず、おしゃれに
フラスティオさんは、自身の事業に誇りを持っている。しかし、ネックとなっているのはビンテージ車体への初期投資がかさむことだ。この高額な車体価格に加え、改造費が上乗せされる。
欧州ではすでに電動ベスパが数種類販売されており、インドネシアにも輸入されている。新品の「ベスパ・エレットリカ」は1万1750ドル(約190万円)で取引されている。
それでも、レトロなベスパに乗りたい人のために、1500〜3900ドル(約24万〜63万円)でビンテージのスクーターを電動化できる改造キットもあるとフラスティオさんは言う。
こうした改造は、騒音や大気汚染を気にせず、おしゃれなスクーターに乗りたいという人たちに人気の選択肢となっている。
その一人であるヘンドラ・イスワヒュディさん(56)は、学生時代に旧式のベスパを動かすのに苦労した思い出を振り返る。「当時はイグニッションを入れてから、エンジンが温まるまでの間にシャワーを浴びられたほどだ」と笑う。
排ガスも騒音も出さない1960年代製のベスパで渋滞の中を走っていると、ベスパ好きが集まってきて「お前のスクーター、めちゃくちゃクールだな」と声をかけられるという。イスワヒュディさんは「乗っていると心地いいし、きれいな空気に貢献できていると実感できる」と続けた。