■「大惨事の技法」

だがトランプ氏は、交戦中にイランの「完全降伏」や核開発計画の完全放棄を求めていたが、自ら要求レベルを引き下げたようにも見える。

覚書に基づき、イランは60日間の交渉期間中、ホルムズ海峡を開放し続けることになっており、対話が継続している間は制裁措置の免除され原油を輸出することができる。

覚書では、核兵器を求めないというイラン側の誓約が再確認されているものの、ウラン濃縮の即時停止や、高濃縮ウラン備蓄の引き渡しは要求されていない。

共和党のテッド・クルーズ上院議員はトランプ氏に対し、「彼ら(イラン)が再建し、再び米国に対する脅威となるのを許すような、巨額の現金を突然与えるべきではない」と強く要求。

「われわれ(米国人)を殺害したがっているイランのイスラム神権体制を強化してはならない。したがって、この合意が彼らに3000億ドルを与えるものであるなら、それは過ちだ」と述べた。

共和党のジョン・コーニン上院議員(テキサス州選出)は記者団に対し、この合意は「一時的な休息」にすぎず、イランが軍を立て直し兵器を補充し、ウラン濃縮を継続することを許してしまうのではないかとの懸念を示した。

共和党のジョン・スーン上院院内総務は他の共和党議員たちよりは慎重な姿勢を示し、今回の合意がイランの核開発計画や弾道ミサイル、および代理勢力への支援問題に対処しているのかどうかについて、政府から回答を得る必要があると述べた。

一方、トランプ派の共和党議員たちは忍耐を呼び掛けている。

リンゼー・グラム上院議員は、今回の合意によってホルムズ海峡が開放され、敵対行為が停止され、外交によってイランの核の野望を抑制できるかどうかを試す「機会」が生まれたと評価。

政治専門メディア「ザ・ヒル」によると、グラム上院議員は、「彼ら(イラン)が核開発計画(の抑制)に応じるかは疑わしいが、試してみる価値はあるのではないか?」と述べた。

今回の合意に挙党一致で反対している民主党は、トランプ氏が莫大なコストを要する戦争を開始した挙げ句、ほぼ戦前の状態に戻した上、イランに新たな力を与えるような合意を受け入れてしまったと批判している。

民主党の上院トップであるチャック・シューマー院内総務は議場での演説で、「トランプ氏の著書『トランプ自伝 アメリカを変える男(原題:アート・オブ・ザ・ディール、取引の技法)』を買った人は全員、返金を求めるべきだ。なぜなら、トランプ氏がイランで実演したのは『アート・オブ・ザ・ディザスター(大惨事の技法)』だからだ」と皮肉った。(c)AFP