5月31日、新義州温室総合農場を現地指導するキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記=労働新聞(c)news1
5月31日、新義州温室総合農場を現地指導するキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記=労働新聞(c)news1

【06月07日 KOREA WAVE】北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記が5月31日、平安北道の新義州温室総合農場を現地指導した。2026年に入って3回目の訪問だ。キム総書記は2025年2月の着工式を含め、この場所を5回訪れている。2026年も新年最初の現地指導でここを訪れ、2月の竣工式にも自ら出向いた。

北朝鮮は2025年夏、大規模な水害を受けた新義州市威化島一帯に、ソウル汝矣島の1.5倍規模の住宅団地と大型温室農場を建設した。2月に開かれた第9回朝鮮労働党大会では、この農場を災害を克服した「国家復興時代の模範的創造物」と評価した。

北朝鮮メディアの報道内容と公開写真を分析すると、いくつか注目すべき点がある。キム総書記は今回、農場の経営管理実態と、地方発展政策に基づき農場地区に新たに建設されている保健施設、総合サービス施設、野菜総合加工工場の建設状況を点検した。

キム総書記は水耕・土壌温室や試験栽培温室を見て回り、農場の生産、野菜科学研究、経営管理の状況を具体的に把握した。そのうえで、野菜生産ではエネルギー消費を最小化しながら作物ごとの生育条件に合う効率的な環境を保障し、原価を下げて四季を通じて野菜を栽培することが切実な課題だと指摘した。

また、品種の多様化、作業の機械化拡大、運搬手段の自動化、野菜の保管施設と販売所の拡張なども課題として挙げた。こうした指摘は、電力問題により新義州農場の一部だけが稼働しているという一部報道を部分的に裏付けるものとみられる。電力、原価、四季栽培はいずれも冬季の温室運営と関係しているためだ。

ただ、キム総書記は農場運営の現状について叱責するより、農業従事者の献身性を高く評価した。北朝鮮は当面解決が難しい電力供給問題を、中長期課題と位置づけているようだ。

キム総書記は温室農場に続き、花が咲いた菜の花畑を見て回った。食用油が大きく不足し、相当量を輸入に頼っている状況で、菜種油の生産を通じて補おうとする試みとみられる。

さらにキム総書記は、建設が50%ほど進んだ威化島地区の総合サービス施設、病院、工場の建物を視察した。現代的な病院、多機能サービス施設、専門化された野菜総合加工工場まで完成すれば、威化島地区は新時代の地方変化のモデル、標準として再び名を上げることになると評価した。

北朝鮮は第9回党大会で、今後5年間に住宅37万戸、地方工業工場300カ所余り、養殖事業所60カ所余り、学校と病院100カ所余り、平壌市整備などを建設部門の課題に選んだ。威化島地区を新たな「モデル」として作り出そうとする意図があるとみられる。

今回の現地指導には、党中央委員会書記局の書記らが大勢同行した。妻リ・ソルジュ(李雪主)氏と娘、キム・ヨジョン(金与正)党総務部長、ヒョン・ソンウォル(玄松月)副部長の姿も確認された。

キム総書記の新義州現地指導は、単なる温室農場地区の建設にとどまらず、新義州市を「国境関門都市」として開発する構想と結びつく可能性がある。新型コロナや中朝関係の影響で遅れていた新義州市開発が再び本軌道に乗る可能性がある。

また、中国の習近平国家主席の平壌訪問説が浮上した後に新義州を訪れた点も注目される。中国が豆満江の海への出口問題を解決するには北朝鮮側の同意が必要で、その見返りとして大規模な中朝経済協力に乗り出す可能性がある。

一方、公開写真では娘がキム総書記のすぐ横を歩く姿が確認された。最近の慣例通り、娘はキム総書記のそばで歩いたり説明を聞いたりする形で演出された。後継者教育を受けているかどうかを断定するのは難しいが、リ・ソルジュ氏やキム・ヨジョン氏が意図的に娘へ注目が集まるよう行動している点は明らかだ。

キム・ヨジョン氏は今回も随行団の後方に位置する姿が捉えられた。第9回党大会で政治局候補委員兼総務部長に昇進して以降、活動範囲は広がったとみられる。対外・対南政策関連の談話を出し続けており、事実上、総書記の秘書室長に近い役割を担っているとの見方もできる。【チョン・チャンヒョン平和経済研究所長】

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