【6月6日 AFP】英首相官邸は5日、シーク教徒(インドで始まった宗教)の男による白人学生ヘンリー・ノバクさん(18)殺害事件への英国の対応をJ・D・バンス米副大統領が非難したことを受け、「わが国の民主主義への介入を試みる人々」を強く非難した。

バンス氏はX(旧ツイッター)で、ノバクさん殺害事件への英国の対応について、自己嫌悪の政治と移民(外国人)による「侵略」によって引き起こされた「文明の崩壊」が原因だと非難した

英首相官邸は声明で、「わが国の民主主義への介入を試み、街頭で分断をあおろうとする人々がいる」とした上で、、「ノバクさんの遺族は、凄惨な殺人事件を受けて深い悲しみに暮れている。遺族は、彼の死がこれ以上の分断、憎悪、緊張を生み出すために利用されることを望まないと表明しており、私たちはその意思を尊重すべきだ」と強調。

「わが国の政治は、いかに凄惨な状況下であっても人々を団結させるものであるべきだ。それこそが国家としての私たちのあり方だ」と付け加えた。

キア・スターマー首相は4日、世論の激しい怒りを買っているこの事件をめぐり、米実業家イーロン・マスク氏が英国内の「分断をあおろうとしている」と非難した。

英国でシーク教徒の男に刺された被害者の白人学生が、警察に手錠をかけられた上、加害者に人種差別発言をしたというぬれぎぬを着せられて死んでいく映像が公開され、警察の対応に内外で激しい反発が広がっている。

警察のボディーカメラの映像には、致命傷を負って横たわる被害者のノバクさんが警察官に対して「息ができない」と何度も訴える姿が映っている。

ノバクさんは昨年12月、サッカーチームのメンバーと南部サウサンプトンの夜の街に繰り出した際、シーク教徒のビクラム・ディグワ被告(23)に刺された。

ディグワ被告は現場に到着した警察に対し、ノバクさんから人種差別的な侮辱を受けたとして、自分こそが被害者だとうそをついた。

公判中に上映された映像には、警察がディグワ被告の主張を受け入れ、ノバクさんを救護するどころか、「刺されて息ができない」という懇願を無視して手錠をかける場面が映っている。

警察官の一人はノバクさんに「刺されたって? どこをだ?」「お前は刺されてなんかいないだろ」と言い放つ音声も記録されている。

極右勢力はこの事件について、英警察が民族的少数派(エスニック・マイノリティー)を白人よりも寛大に扱う「2層構造の取り締まり」をしている証拠だと主張しているが、スターマー氏率いる中道左派の労働党政権や警察幹部らはこの疑惑を強く否定している。

マスク氏はこの殺人事件への英警察の対応について、Xで何度も言及している。

その中の一つには、「警察が公式方針で、白人を人種差別するよう警察官に求めていること」を皆さんは知っているだろうかという事実に基づかない問いかけもある。

マスク氏はこの殺人事件への対応をめぐり、警察に対する私人訴追の費用を支援する意向を表明したほか、事件に関与したハンプシャー警察を侮辱した。(c)AFP