【6月9日 CNS】暮らしに関わることに、小さなことはない。枝葉のように細かな問題にも、人びとへの思いが込められている。習近平(Xi Jinping)総書記は一貫して、民生の保障と改善を重視し、人びとの暮らしや困りごとに目を向け、重要な指示と政策を相次いで打ち出してきた。各地・各部門では、子育て支援、高齢者介護、医療、困窮者支援など、暮らしに関わる施策が一つひとつ実行され、多くの家庭に温かさを届けている。国家発展改革委員会と三里河工作室は共同で、こうした取り組みを記録するルポを発信し、人民を中心とする発展理念を伝えている。

昼時、四川省(Sichuan)成都市(Chengdu)金牛区荷花池街道城隍廟社区(コミュニティー)の団地食堂には、料理の香りが漂っていた。肉料理2品と野菜料理2品の手頃なセットメニューは、近くに住む高齢者たちに安心感を与えている。

食堂の経営者は三里河に対し、「団地食堂は、もともとの地鉱局食堂を改修したものです。60歳以上の地域の高齢者には割引を提供しています。さらに配食サービスもあり、高齢者は家から出なくても食事を受け取れます」と話した。

一食の温かさは、一見すると小さなことに見える。しかし、これは高齢者の日常で最も切実なニーズに直接応えるものだ。食事、休憩、移動、通院など、高齢者の暮らしのニーズは具体的で細かい。だからこそ、こうした細部こそが、高齢者支援で最も力を入れるべきところである。

従来の公共サービスは施設中心になりがちで、家のすぐ近くにある具体的なニーズに十分届きにくかった。高齢者サービスも同じ課題を抱えていた。城隍廟社区居民委員会の張月(Zhang Yue)主任は、「以前、社区には市場がなく、住民は2、3キロ離れた場所まで買い物に行かなければなりませんでした。自転車で買い物に出た高齢者が転倒したこともありました」と振り返る。

社会が幸せかどうかを見るうえで、高齢者が幸せかどうかは重要な物差しとなる。2025年末時点で、中国の60歳以上の人口は3億2338万人に達し、総人口の23.0%を占めた。高齢化の波が押し寄せる中、高齢者サービスの供給と改善は、民生に関わる重要な課題となっている。

習近平総書記は、各級党委員会と政府が各種資源を統合し、高齢者サービスの拡充と質の向上、持続的な発展を進め、高齢者が幸せな晩年を安心して過ごせるよう、より良い条件を整える必要があると指摘している。

国家発展改革委員会など8部門は2025年、「普恵型高齢者サービスの質の高い発展を促進するための若干措置」を発表し、価格が手頃で、質が保障され、持続的に運営できる普恵型高齢者サービスを大きく発展させる方針を示した。

研究によると、中国の都市住民は平均して約75%の時間を居住社区で過ごしている。社区は、高齢者支援の課題を解決するうえで、もともと大きな可能性を持つ場である。中国共産党中央委員会と国務院が2024年末に発表した「高齢者サービス改革発展の深化に関する意見」では、社区に組み込まれた高齢者サービス施設や互助型の高齢者サービス拠点を大きく発展させ、老朽化した住宅地の高齢者サービス施設を整備し、教育、医療・健康、文化などの公共サービス施設との総合利用を強化し、「高齢者と子ども」を支える総合サービス施設を整備する方針が示された。

成都・城隍廟社区の取り組みは、こうした上位政策を現場で具体化したものだ。限られた社区の空間で、高齢者の多様なニーズにどう応えるのか。城隍廟社区が出した答えは、狭い空間を巧みに生かす工夫だった。張主任によると、社区は内部の遊休スペースを十分に掘り起こし、点在する形で七つの組み込み型サービスの場を整備した。これにより、高齢者の食事、サービス利用、休憩場所の不足といった問題に対応している。

使われていなかった空間は、食事を温めたり休憩したりできる「暖心ステーション」に改修された。複数の団地の間にある一角には、在宅高齢者向けの交流スペース「壩壩茶」が設けられ、限られた場所の中で高齢者サービスの機能を最大限に集約している。

社区はさらに、既存の病院などと連携し、「在宅高齢者サービス専用ライン」を整備した。訪問診療、リハビリ看護など、10項目以上のサービスを提供している。こうした社区に組み込まれた、家の近くで受けられるサービスによって、高齢者支援は「遠くにある施設」ではなく、「手の届く日常」になりつつある。

成都市の取り組みは特別な例ではない。政策の方向づけから現場での実施まで、今では都市と農村を覆う高齢者サービスのネットワークが、全国で着実に整えられている。2024年末時点で、中国ではモデル型の社区在宅高齢者サービスネットワークが500か所、モデル型の高齢者に優しい社区が2990か所、助食サービス拠点が8万6000か所整備された。毎日300万人以上の高齢者が、高齢者向け食事拠点で食事をしている。

一つひとつの数字の背後には、高齢化に向き合う国の統治の温かさがあり、普恵型高齢者サービスの質が高まりつつある姿が映し出されている。「第15次5か年計画」綱要は、高齢者サービス施設の配置を統一的に計画し、基本的な高齢者サービスの供給を最適化し、高齢者サービスの拡充と質・効率の向上を進めるとした。これは今後の高齢者サービスの発展に明確な道筋を示している。

中国式現代化において、民生は何よりも大切なものだ。社区食堂の温かな日常から、組み込み型サービスのきめ細かな提供へ。社区の小さな工夫から、全国規模の大きな配置へ。高齢者が支えられ、楽しみながら暮らせる社会の姿が、一歩ずつ現実のものとなっている。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News