【6月2日 CNS】最近、中国各地で省党委員会書記や省長が相次いで民営企業家と会談しており、政府と企業の深い交流が広く注目を集めている。

比亜迪汽車(BYD)の王伝福(Wang Chuanfu)会長、小米科技(シャオミ、Xiaomi)の雷軍(Lei Jun)会長、美団(Meituan)の王興(Wang Xing)CEO、京東集団(JD.com)の創業者・劉強東(Liu Qiangdong)氏、宇樹科技(Unitree Robotics)の創業者・王興興(Wang Xingxing)氏……。著名な民営企業家たちが、各省の党政トップの会談の場に頻繁に姿を見せている。注目すべきは、同じ民営企業家が複数の省から招かれていることだ。例えば、1か月余りの間に、河南省、安徽省、湖南省の主要指導者がいずれも王伝福会長と会談した。

4月27日、河南省(Henan)党委員会の劉寧(Liu Ning)書記は王伝福会長と会談し、BYDに対し、これまで通り河南省に投資し、河南省で事業を築き、根を下ろしてほしいと期待を示した。4月2日には、安徽省(Anhui)党委員会の梁言順(Lianf Yanshun)書記と王清憲(Wang Qingxian)省長が王伝福会長と実務会談を行い、BYDがより多くの新技術や新製品を安徽省に配置するよう期待を示した。3月24日には、湖南省(Hunan)の毛偉明(Mao Weiming)省長が王伝福会長と会談し、BYDがより多くのハイエンド製造や研究開発・イノベーション分野を湖南省に配置することを望むと述べた。

河南、安徽、湖南の3省がそろって王伝福会長と会談した背景には、地方による新エネルギー車産業をめぐる競争があり、同時に、トップ企業の力で地域発展をけん引したいという強い思いがある。同じような動きは劉強東氏をめぐっても見られる。5月8日、福建省(Fujian)党委員会の周祖翼(Zhou Zuyi)書記が劉強東氏と会談した。3月には、遼寧省(Liaoning)党委員会の許昆林(Xu Kunlin)書記と王新偉(Wang Xinwei)省長、黒竜江省(Heilongjiang)党委員会の許勤(Xu Qin)書記と梁恵玲(Liang Huiling)省長も劉強東氏と会談している。

南から北まで、各地で行われる政府と企業の交流は、地方政府が民営経済をますます重視しているという明確なシグナルを発している。より大きな視点で見ると、こうした頻繁な政企交流には二つの特別な背景がある。一つは、今年が「第15次5か年計画」のスタートの年であり、各地が発展に全力を注ぎ、良い出だしを切ろうとしていること。もう一つは、人工知能がけん引する新たな科学技術革命と産業変革が本格的に広がりつつあり、チャンスをつかんだ地域や企業が発展の先手を取れるということだ。

そのため、地方政府であれ民営企業であれ、時代の大きな流れを見極め、流れに乗り、自らを国の「第15次5か年計画」の全体配置に組み込み、それぞれの地域や時期に応じた質の高い発展を実現する必要がある。これまでも民営経済は、成長の安定、イノベーションの促進、民生の改善などで重要な役割を果たしてきた。より多くの民営企業を引きつけられる地域ほど、発展の主導権を握ることができる。

地方が民営企業を呼び込み、定着させるうえで鍵となるのは、ビジネス環境だ。各地のトップは相次いで約束を打ち出している。遼寧省は、市場化、法治化、国際化された一流のビジネス環境を引き続き整え、企業の遼寧省での発展に向け、全プロセス・全ライフサイクルのサービスと保障を主体的かつ効率的に提供するとしている。河南省も一流の環境づくりを続け、優位性のある資源や要素を集中させ、BYDの河南省でのプロジェクト実施・運営をよりよく支援し、共に前進し、互いに利益を得る関係を築くとしている。

これは、地方が民営経済を発展させるうえで、サービスの強化に加え、制度づくりの基盤をより重視していることを意味する。「求めがあれば必ず応じ、用がなければ干渉しない」という質の高いビジネス環境こそ、企業にとって最も大きな安心材料になる。民営企業側も積極的に応じ、自社の発展戦略に合わせて、関連地域への投資配置を相次いで拡大している。例えば王伝福会長は、BYDが第2世代ブレードバッテリーや急速充電技術など、より多くの革新的製品・技術を湖南省で先行導入し、「急速充電の都市」をつくると述べた。劉強東氏は、京東が遼寧省でさらに資源投入を拡大し、3年以内に事業規模を500億元(約1兆1662億円)から1000億元(約2兆3324億円)へ倍増させることを目指すと表明した。

この動きは、河南、安徽、湖南に限らない。湖北省(Hubei)党委員会の王忠林(Wang Zhonglin)書記との会談では、美団の王興CEOが、湖北省での投資配置を強化し、「小売+テクノロジー」をより強く、より良いものにし、小象超市などの小売業態の展開を加速すると述べた。

重慶市(Chongqing)党委員会の袁家軍(Yuan Jiajun)書記との会談では、宇樹科技の王興興氏が、AIロボットの工業、消防、文化・観光、教育などの分野での導入を秩序立てて進め、重慶での事業展開をさらに拡大すると述べた。

「第15次5か年計画」綱要は、民営経済を発展・拡大させる方針を掲げている。こうした政府と企業が互いに歩み寄り、良好に交流する状況には、特に大きな意味がある。これは「二つの揺るがない方針」を具体的に実践するものであり、市場の見通しを安定させ、発展の活力を引き出す重要な一手でもある。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News