【5月21日 AFP】イスラエルの極右イタマル・ベングビール国家治安相は20日、パレスチナ自治区ガザ地区に海路での支援物資搬入を目指す「グローバル・スムード船団」に参加し、イスラエル当局に拘束された活動家たちをさらし者にする動画を投稿し、国際的な非難を浴びた。

ベングビール氏がX(旧ツイッター)に投稿したこの動画は、イスラエル軍が海上で船団を拿捕(だほ)し、南部アシュドッド港で外国人活動家の拘束を開始した後に公開された。

この動画は国際的な批判を浴びたばかりか、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相やギドン・サール外相からさえ批判された。

「イスラエルへようこそ」というキャプションが付けられた動画には、数十人の活動家が後ろ手に縛られ、額を地面につけてひざまずくことを強要されている場面が映っており、所々でイスラエル国歌が聞こえる。

また、ベングビール氏が拘束した活動家たちの前で、やじを飛ばしてイスラエル国旗を振る姿も映っている。

米国のマイク・ハッカビー駐イスラエル大使はXで、これらを「卑劣な行為」とし非難。

「ベングビール氏の卑劣な行為に対し、イスラエル政府の高官全員から一斉に怒りと非難の声が上がっている。船団の抗議行動は愚かな売名行為だったが、ベングビール氏は自国の尊厳を踏みにじった」と述べた。

欧州連合(EU)欧州委員会のアジャ・ラビブ委員(平等・準備・危機管理担当)もXでベングビール氏を批判し、「人道を守ろうとしたことで処罰される人間がいてはならない」と述べた。

フランスは、ベングビール氏の「容認できない行為」をめぐり、イスラエル大使を呼び出して抗議したと発表。スペインも、活動家に対する「極悪非道な」仕打ちを非難し、イスラエルの臨時代理大使を呼び出して抗議したと明らかにした。

ベルギーも、「深く憂慮すべき」動画であるとして、イスラエル大使を呼び出して抗議した。

カナダのマーク・カーニー首相は、「船団に乗っていた民間人に対する残忍非道な扱いは容認できない」と述べ、外相に対しイスラエル大使を呼び出して抗議するよう指示したと付け加えた。

アイルランドのヘレン・マッケンティー外相は、動画に「がく然とし、衝撃を受けた」と述べ、活動家たちの即時釈放を求めた。拘束された活動家の中には、同国のキャサリン・コノリー大統領の姉か妹も含まれている。

トルコ外務省は、ベングビール氏が「ネタニヤフ政権の暴力的で野蛮な精神性を、またしても世界に公然と示した」とコメントした。

パレスチナのイスラム組織ハマスは、この動画はイスラエル指導部の「道徳的退廃とサディズム」の証拠だと述べた。

■「恥ずべき失態」

ベングビール氏は国外だけでなく国内の怒りも買った。

ネタニヤフ氏は声明で、ベングビール氏の活動家に対する振る舞いは「イスラエルの価値観や規範に沿うものではない」とし、「関係当局に対し、この挑発者たち(活動家)をできるだけ早く国外追放するよう指示した」と述べた。

サール氏は、ベングビール氏が「この恥ずべき失態により、わが国に意図的に損害を与えた。しかも、それは今回が初めてではない」と批判した。

だが、ベングビール氏は国会(クネセト)で猛反発し、「本日テロ支持者らに対して作戦を展開した組織を管轄する大臣であることを誇りに思う」と主張。

「確かに、ギドン・サール氏が好まない映像も色々と出てくるだろうが、私は大いに誇るべきものだと思う」と付け加えた。

先週、活動家らによるイスラエルによるガザ封鎖の打破を目指す新たな試みとして、約50隻の船舶から成る「グローバル・スムード船団」がトルコを出港していた。

イスラエル当局は、この船団で活動家430人がイスラエルに向かっていたと述べていた。人権団体アダラは、一部の活動家がすでにアシュドッド港に到着し、そこで拘束されていると伝えた。(c)AFP