「バッテリー制限」騒動、新エネ車OTAの課題浮き彫り
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【5月18日 東方新報】「自動車メーカー8社が事情聴取を受けた」という話題が5月9日、突然検索ランキングの上位に入り、自動車業界全体に波紋を広げた。同日夜、中国自動車工業協会は、ネット上で広がった「新エネルギー車メーカーがバッテリー制限問題で事情聴取を受け、立件された」とする情報は事実ではないと発表した。同協会はあわせて、新エネルギー車メーカーに対し、バッテリー管理システムを最適化する際には情報の透明性を保ち、消費者の知る権利と選択する権利を保障するよう求めた。また、円滑で効率的なアフターサービスの連絡ルートを整え、バッテリー制限に関する苦情や争いに積極的に対応することも求めている。
今回の「バッテリー制限」騒動はいったん落ち着いたものの、関連する苦情は以前から存在していた。消費者の間にある「勝手にバッテリー性能を制限されるのではないか」という疑念が、噂の拡散に余地を与えたともいえる。
中国消費者協会は2023年第1四半期の全国消費者協会組織による苦情受理状況の分析で、一部の新エネルギー車ブランドが電池使用時の安全リスクを下げるため、消費者に知らせないまま遠隔アップデートを通じて、車両の充電出力、放電出力、または電池容量を制限していると指摘した。その結果、充電速度の低下、動力性能の低下、航続距離の短縮が起きる。これがいわゆる「バッテリー制限」だ。
国家市場監督管理総局のウェブサイト情報でも、2024年にプラットフォームが受け付けた新エネルギー車のソフトウェア問題に関する苦情・通報は3万5000件に上った。消費者の同意なしに一方的に「バッテリー制限」を行うことも、主な問題の一つとして挙げられている。
ただ、こうした問題をめぐっては、ここ数年、工業情報化部とその関連部門が遠隔アップデート(OTA)について複数の文書を出し、明確なルールを示してきた。「スマートコネクテッドカー製品の参入、リコールおよびソフトウェアオンラインアップグレード管理をさらに強化することに関する通知」では、企業がOTAアップデートを行う場合、規定に従って工業情報化部と市場監督管理総局に届け出る必要があると明記している。また、監督検査を強化し、企業がOTAアップデートを使って車両の欠陥を隠したり、責任を回避したりすることを防ぐとしている。
さらに「スマートコネクテッドカー生産企業および製品の参入管理強化に関する意見」でも、工業情報化部は、オンラインアップデート機能を持つ自動車を生産する企業に対し、アップデートの目的、内容、所要時間、注意事項、アップデート結果などを車両ユーザーに知らせるべきだと以前から明確に示している。言い換えれば、自動車メーカーが「安全のための最適化」を理由にしたとしても、ユーザーが知らないうちにバッテリー管理システムのパラメーターを変更してはならないということだ。
中国政法大学(China University of Political science and Law)教授で北京策略律師事務所の兼職弁護士でもある鄭飛(Zheng Fei)氏は、自動車メーカーによる遠隔での「バッテリー制限」は、スマートフォンのような単純なシステムアップデートとは異なると述べた。情報技術を使って、消費者が車を購入した時点の製品技術指標を変更し、購入済み製品の使用性能に影響を与える行為だからだ。そのため、こうした行為にはユーザーの同意が必要であり、同意を得ていない「バッテリー制限」は法的に成立しないという。
ただし、バッテリー制限は外から見えにくく、車の所有者が証拠を示すのも難しい。また、自動車メーカー側の違反コストは比較的コントロールしやすい。鄭飛氏は、今後は法律面で違法なバッテリー制限に対する行政処分の基準をさらに明確にし、より高額な罰金やブラックリスト制度などを設けることで、実効性のある抑止力をつくる必要があると指摘した。
消費者の「バッテリー制限」への疑念を根本的になくすには、消費者を監督に参加させる必要がある。工業情報化部情報通信経済専門家委員会の盤和林委員は、消費者が自動車メーカーの不備をもとに権利を守れるようにし、それによって規範化を促すべきだと提案したうえで、ユーザーが主導権を持たなければならないと強調した。
国研新経済研究院の朱克力(Zhu Keli)創設院長もこの見方に賛同している。同氏はさらに、自動車メーカーと消費者がリスクを分担する仕組みをつくるべきだと提案した。安全上本当に必要なアップデートであれば、保証期間の延長や損失補償などの措置をセットにする必要があるという。
技術面では、朱克力氏は全国統一のOTAスマート監督プラットフォームを構築し、技術的手段によって「情報のブラックボックス」をなくすべきだと述べた。朱克力氏は、「技術的手段を使ってアップデート行為の全過程を記録し、リアルタイムで監視し、自動で警告を出すことができる。アップデート内容と届け出内容が一致しているかを確認できる仕組みを実現すれば、見えにくい違反行為を逃がさず把握できる」と強調した。(c)東方新報/AFPBB News