【5月13日 東方新報】中国・雲南省(Yunnan)の広大な大地で、孔子(Confucius)を祭り、儒学文化を伝えてきた文廟は、赤土高原の山水の間に静かに立ち続け、中原文明と辺境文化が交わってきた歴史を見守ってきた。数百年にわたり、各民族の人びとは儒学の精神を受け継ぎ、学問や礼節を重んじる文化を雲嶺高原に広げてきた。文廟は単なる古建築ではなく、この地域の精神文化を伝える重要な遺産でもある。

雲南省西部の鳳慶県にある文廟は、山の地形を生かして建てられている。一般的な平地の文廟とは異なり、北西にある鳳山の自然の傾斜を取り入れ、西から東を向き、中軸線に沿って階段状に配置されている。下から上へ進むと、学問を象徴する半月形の池「泮池」、登竜門に由来する石坊「龍門」、孔子を祭る中心施設の大成殿などが順に並び、最も高い場所には学問の神を祭る魁星閣が建つ。こうした構成により、鳳慶文廟には独特の多層庭園式の空間が形づくられている。

整然とした礼制空間の中には、細やかな工夫も見られる。廟の前にある半月形の泮池は、古代の学宮(学問を教える所)で「学問の道に終わりはない」ことを象徴するものであり、防火用の貯水池としての役割も果たしていた。その奥にある「龍門」の石坊には、「龍門」の二文字に加え、「金声玉振」「江漢」「秋陽」などの楷書の石刻が刻まれている。そこには、学ぶ者が「魚が龍門を越える」ように成功を収めることへの願いが込められている。

建築群の中心となる大成殿は、高さ約12メートル、間口約18メートルで、五間構成の重層入母屋造を採用している。殿内には、「万世の師」として孔子をたたえる扁額などが掲げられ、中央には孔子像が祭られている。こうした建築や扁額、祭祀空間は、鳳慶県における儒学文化の受容と継承を今に伝えている。

現在、鳳慶文廟一帯は、省級観光レジャー街区および夜間文化観光消費エリアとして整備されている。文廟は、儒学文化を伝える歴史建築として保存される一方、周辺では滇紅茶など地域産業と結びついた文化観光の取り組みも進められている。歴史遺産の保存と地域資源の活用をどう両立させるかが、今後の課題にもなっている。(c)東方新報/AFPBB News