【5月8日 AFP】フィリピン沿岸警備隊は7日、中国と領有権を争う南シナ海の南沙諸島(スプラトリー諸島)に中国の「海上民兵船」が多数集まる中、航空機を派遣して同海域で活動していた中国の海洋調査船に警告を発したと発表した。

フィリピン沿岸警備隊によると、潜水艇を搭載・支援可能な中国の海洋調査船「向陽紅33」は、南沙諸島のイロコイ礁付近で活動していた。

向陽紅33が6日にイロコイ礁に向けて作業船を出しているのをフィリピン沿岸警備隊の航空機が発見し、「無許可の(海洋調査)活動を続けていることが確認された」と述べた。

イロコイ礁は、天然ガスと原油が豊富に埋蔵されているとみられるスプラトリー諸島のリードバンク南端に位置する。

フィリピン沿岸警備隊の航空機は飛行中、イロコイ礁とフィリピンが実効支配するティトゥ島周辺海域に停泊している中国の海上民兵船41隻を発見した。ティトゥ島にはフィリピン人が約400人が居住し、新たな沿岸警備隊基地も設置されている。

フィリピン沿岸警備隊は、「フィリピンは、これらの海域における(海洋科学調査)活動について、(中華人民共和国に)いかなる同意も与えていない」「調査船の存在と、中国海上民兵船の大規模な集結は、フィリピンの主権と海洋管轄権に対する重大な侵害だ」と述べた。

これに対し在フィリピン中国大使館は、「歴史的権利」を主張し、南沙諸島もイロコイ礁も中国領だと反論した。

また、中国の調査船はそれぞれの任務を国際法に従って遂行したと主張した。

3週間以上前に中国を出港した向陽紅33は、スプラトリー諸島のフィリピンが領有権を主張する海域、特に一触即発の状況となっているサビナ礁やセカンド・トーマス礁付近で調査活動を行っていることが確認されている。

国連海洋法条約に基づくオランダ・ハーグの仲裁裁判所は、南シナ海での中国の海洋進出をめぐり、中国が主権を主張する独自の境界線「九段線」について「法的根拠がない」と断定している。それにもかかわらず、中国は南シナ海のほぼ全域の領有権を主張し、フィリピンの船舶に対する行動は合法かつ均衡のとれたものだと正当化している。

中国は、海軍、海警局、海上民兵(中国側は漁師だと主張している)を派遣し、係争海域にある戦略的に重要な岩礁や島嶼へのフィリピン側の接近を阻止している。(c)AFP