軽食が問い直す「食」の健康価値
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【5月7日 東方新報】「第15次五か年計画(十五五)」の期間は、「健康中国」実現に向けた重要な局面とされている。「健康中国2030」戦略が本格段階に入る中、「体重管理年」が社会的な話題となり、私たち一人ひとりにシンプルだが本質的な問いが突きつけられている――どうすれば健康的に食べられるのか。
4月17日、浙江省(Zhejiang)杭州市(Hangzhou)で開かれた「2026EBCヘルシー軽食イノベーション大会」で取材したところ、中国のヘルシー軽食業界は静かだが大きな変化の中にあることが分かった。これまでの「減らす」発想から「付加する」発想へ、商品の細分化から価値の再構築へ、そしてコンセプト重視から技術主導へと転換が進んでいる。
これは単なる節約志向ではなく、「食」に対する消費の高度化と理性的な見直しの動きだ。会場の一角では、ある企業の展示が注目を集めていた。テーマは、誰にとっても身近でありながら見過ごされがちな「食用油」だ。
中国では現在、一人当たりの油脂摂取量は1日80グラムを超え、必要量を大きく上回っている。背景には、中華料理の調理法があり、油を減らすと料理の味が損なわれるという事情がある。そこでこの企業が提案するのは、「油を減らす」のではなく「体にたまりにくい油に変える」という考え方だ。一般的な食用油の大半は中性脂肪(トリグリセリド)だが、これを体内で燃焼されやすいジグリセリド(体にたまりにくく、エネルギーとして使われやすい油の成分)に変えることで、脂肪として蓄積されにくくするという。
さらにこの技術は応用が広がっており、コーヒーやミルクティーに使われるクリーミングパウダーの代替や、月餅などの焼き菓子にも取り入れられている。健康志向の高まりを背景に、こうした新しい油の市場は急速に拡大しており、関連ブランドは急増している。
一方で、別の企業は市場へのアプローチの違いを示していた。こちらはプルーンを使った製品群で、濃縮ジュースからお茶、乳酸菌飲料、ヨーグルト、シード入りドリンクまで、多様な商品を展開している。特徴は、消費者の細かなニーズに合わせた商品設計だ。強い効果を求める人、甘さを重視する人、食感を楽しみたい人など、それぞれに合った選択肢を用意することで、幅広い層に対応している。こうした戦略により、わずか数年で一つの果実から大きな市場を築き上げた。
このような動きの背景には、業界全体の考え方の変化がある。かつての軽食は「減塩・減油・減糖」といった制限中心の発想だったが、現在は「技術を加える」「利用シーンを広げる」「機能性を高める」といった方向へシフトしている。その流れは、現場の設備にも表れている。会場では、注文後に蒸気で加熱し、出来たてに近い状態で提供する自動調理機も展示されていた。単に安さを追求するのではなく、味と健康の両立を目指す考え方だ。
こうした事例は、中国の食品産業が量の拡大から質の向上へと移行しつつあることを示している。「健康中国」は単なるスローガンではなく、日々の食事の中に具体的に表れるものだ。一滴の油、一杯のお茶、一食の弁当――そうした細部の積み重ねが、「十分に食べる」から「より良く食べる」、そして「正しく食べる」へと変化している。
この流れの中で、中国の食品産業は14億人の食卓に、より健康的な選択肢を提供しようとしている。(c)東方新報/AFPBB News