【5月1日 AFP】メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は4月30日、現職知事やその他当局者に対して米国が突如発表した麻薬密輸容疑をめぐり、身柄引き渡し要請に進む前に「反論の余地のない」証拠を求めると述べた。

米司法省は同29日、シナロア州のルベン・ロチャモヤ知事(76)や他9人を、麻薬組織「シナロア・カルテル」と協力して「大量の」麻薬を米国に流通させたとして起訴した。シナロア・カルテルは、ドナルド・トランプ米政権によって国外テロ組織として指定されたメキシコ麻薬密売グループの一つ。

ロチャモヤ氏は、シェインバウム氏とともに左派与党「国家再生運動(MORENA)」に所属し、前大統領の側近を務めた。2021年からは暴力が多発するシナロア州知事を務めている。

シェインバウム氏は記者会見で、「もし検察庁が、メキシコの法律に従った確固たる反論不能な証拠を受け取るか、あるいは独自捜査の過程で犯罪を構成する要素を見つけた場合には」米国の身柄引き渡し要請に「応じなければならない」と述べた。

また、証拠が提出されない、あるいは見つからない場合には、「(米)司法省によるこれらの告発が政治目的であることは明らかになる」と付け加えた。

ロチャモヤ氏はSNSへの投稿で、この容疑をアンドレス・マヌエル・ロペスオブラドール前大統領が創設した国家再生運動への攻撃だとして退けた。米国の訴追対象となっている他の当局者は、いずれも同党所属となっている。

米司法省による現職知事らに対する衝撃的な麻薬密輸容疑の発表により、報道によれば米中央情報局(CIA)局員と伝えられる米国人2人の死亡を受けてすでに緊張しているトランプ政権との外交関係は、さらに悪化することになった。

米国と国境を接するチワワ州での交通事故で死亡した2人は、メキシコ国内で活動するための許可を同国政府から受けていなかった。

専門家によれば、今回の米国の対応は、ロナルド・ジョンソン駐メキシコ米大使がシナロア州でメキシコの腐敗を批判する演説を行った後、米側がメキシコ側の対応を快く受け止めなかったことを示しているという。

シェインバウム氏は、米国による介入、例えば無人機(ドローン)攻撃や軍事要員の派遣を受け入れるよう米政権から圧力を受けている。情報収集の協力を支持しているシェインバウム氏だが、米部隊がメキシコに入ることは国の独立に対する脅威として拒否している。(c)AFP