【三里河中国経済観察】中国製電動バイク、海外で受注拡大
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【5月11日 CNS】「現在の注文はすでに7月分まで埋まっている」
4月の重慶市(Chongqing)。山あいの街を包む霧がまだ晴れきらない中、新エネ車両の設計開発や生産を手がける「虬竜科技(Chongqing Qiulong Technology)」の最終組立工場は慌ただしく動いていた。一方その頃、遠く離れた広州交易会の会場では、欧州、東南アジア、中南米から来たバイヤーたちが、雅迪科技集団(Yadea Technology Group)や江門正豪など中国ブランドの新型電動バイクを熱心に見つめていた。翻訳アプリを使いながら、航続距離や充電性能についてスタッフに質問し、その場で注文を入れる人もいた。
雅迪科技集団の関係者は、「今回は800社を超える海外バイヤーに対応した」と話す。張雪機車(ZXMOTO)が国産バイクへの注目をネット上で一気に高める一方で、中国製電動バイクはすでに海外で飛ぶように売れている。
2024年、中国の電動バイクと電動自転車の輸出額は初めて400億元(約9339億4800万円)を突破し、その後も力強い伸びを維持している。税関統計によると、2026年第1四半期、民間企業による電動バイクと電動自転車の輸出は前年同期比30%増となった。全国有数のバイク生産拠点である重慶でも、第1四半期の電動バイクと電動自転車の輸出額は1億7000万元(約39億6927万円)に達し、前年同期比23.6%増となった。
かつては安価な移動手段と見られていた中国製電動バイクが、なぜ海外でこれほど支持を集めるようになったのか。理由はそれほど複雑ではない。需要があり、技術があり、市場も広がっているからだ。いま世界では、ガソリン車規制の流れが続き、国際原油価格も大きく変動している。東南アジア、欧州、中南米では、ガソリン車から電動車への大規模な切り替えが進みつつある。
ベトナムメディアによると、2025年末までにベトナムの電動バイク市場シェアは13%まで上昇し、わずか1年で5倍超に拡大した。今年3月には、地政学リスクによる原油高を背景に、ベトナムやタイなどで電動バイクの販売がさらに急増した。
追い風が吹いても、誰もが飛べるわけではない。中国には、モーター、バッテリー、制御装置までそろった完成度の高い電動バイク産業チェーンがある。中核部品の自給率も非常に高い。つまり、同じ仕様でも中国製は生産コストを抑えやすく、サプライチェーンの強みを生かして一気に伸びることができる。ただ、追い風だけでは足りない。技術力そのものも確かでなければならない。
10年前、中国製電動バイクの輸出は価格の安さが武器だったが、今は確かな技術力で勝負している。近年は大手企業が研究開発に継続的に多額の投資を行い、中核特許の数も大きく増えた。これが技術の急速な進化を支える直接の原動力になっている。
技術の良しあしは、最終的には製品が証明する。現在、主力の輸出モデルの多くは航続距離が150キロを超えている。高級モデルの一部は、航続距離延長技術や大容量バッテリーによってさらに長い走行距離を実現しており、充電時間も大幅に短縮された。アフリカのように電力事情が不安定な地域に向けては、バッテリー交換方式を導入する企業もあり、一つの産業エコシステムを形づくっている。
車両を1台売るだけでなく、解決策そのものを売る段階に入ったということだ。この道を、従来のバイク大手がそのまま追うのは簡単ではない。技術力と市場の追い風が重なり、中国製電動バイクの販路はますます広がっている。いまやその輸出は、特定の地域だけに頼っているわけではない。中南米から東南アジア、アフリカ、欧州まで、中国製電動バイクは世界のあらゆる地域に広がっている。
さらに注目すべきは、輸出構造の変化だ。欧州や中央アジアでは、中高級モデルも着実に市場を開拓している。虬竜科技の関係者は三里河中国経済観察に対し、「一部のモデルは欧州市場で小売価格が数千ユーロ(1000ユーロ=約18万円)に達するが、それでも需要は強い。現地の消費者が重視しているのは性能だ」と語った。
中南米の通勤需要から、欧州の高級オフロード市場、東南アジアでの現地工場、アフリカでのバッテリー交換網まで、中国製電動バイクは世界全体を覆う多層的なネットワークを築きつつある。そこに見えるのは、中国製造業の海外展開の論理が静かに変わっているということだ。もはや価格だけを競うのではなく、産業チェーン、ソリューション、現地対応力で勝負する時代に入っている。
外部環境にどれほど波風があっても、技術があり、産業チェーンがそろい、市場が広ければ、商売は途切れない。2026年の春に立って振り返れば、この「二輪の海外進出」の波は決して偶然ではない。それは、一つのシンプルで力強い事実を示している。中核技術を握り、時代の流れを正しくつかめば、中国製造業はこれからも世界に驚きを与え続けることができる。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News