【5月1日 CNS】「ダイヤモンドは永遠の輝き」。この有名な広告コピーは多くの人が知っているが、世界で最も多くダイヤモンドを生み出している地域が中国・河南省(Henan)だということは、あまり知られていない。世界で生産されるラボグロウンダイヤモンドのうち、10粒に7粒は河南産だとされる。

ダイヤモンドには大きく分けて、天然ダイヤモンドと人工的に作られるラボグロウンダイヤモンドがある。河南は天然ダイヤモンドでは目立つ存在ではないが、ラボグロウンダイヤモンドの分野では圧倒的な存在感を放っている。「世界のラボグロウンダイヤモンドは中国を見ればよく、中国を見るなら河南を見ればよい」と言われるほどだ。

その強さはデータにも表れている。「2025培育ダイヤモンド産業発展報告」によると、中国のラボグロウンダイヤモンド原石の生産能力は約2520万カラットで、世界全体の63%を占める。そのうち、河南省鄭州市(Zhengzhou)だけで全体の3割を担っている。つまり、中国中部最大の省である河南は、食糧の一大生産地であるだけでなく、ダイヤモンドを生み出す土地としても突出した力を持っているということだ。

では、なぜ河南はラボグロウンダイヤモンドの分野で世界をリードするまでになったのか。

それは偶然ではない。何十年にもわたって積み重ねてきた技術と、世代を超えて受け継がれてきた粘り強い取り組みがあったからだ。河南のダイヤモンドづくりの歴史は、60年以上前にさかのぼる。1963年、中国初の人工ダイヤモンドが鄭州で誕生した。これによって海外の技術独占が打ち破られ、河南に「超硬素材」産業の土台が築かれた。当時は、この小さな人工ダイヤモンドが、後に100億元(約2336億8200万円)規模の巨大産業へと発展するとは誰も想像していなかった。

作物づくりに手間と根気が欠かせないように、河南の人びともまた、ダイヤモンドづくりに地道に取り組んできた。天然ダイヤモンドは地下深くで何億年もの高温高圧を経て生まれるが、ラボグロウンダイヤモンドは科学技術によって人工的に作られる。実験室で六面頂圧機を使い、地下の極限環境を再現しながら、黒鉛をダイヤモンドへと変えていく。しかも、その工程に必要なのはわずか2~3週間だ。

もちろん、これは単純な模倣ではない。そこには高度な技術の蓄積がある。河南は中核技術を押さえただけでなく、関連設備の国産化も進めてきた。天然ダイヤモンドを氷河の氷にたとえるなら、ラボグロウンダイヤモンドは冷蔵庫で作る氷のようなものだ。性質には大きな違いがない一方で、価格差は非常に大きい。ラボグロウンダイヤモンドの価格は、天然ダイヤモンドの5分の1から10分の1程度にとどまる。

いまでは河南のダイヤモンドは一般家庭にも広がり、より多くの人が手の届く価格でダイヤモンドを楽しめるようになった。それだけでなく、欧米やインドなど海外市場にも輸出され、航空宇宙や精密製造といった先端分野にも使われている。その背景にあるのが、河南に形成された一貫した産業基盤だ。生産、研究、教育、実用化までが結びついた産業集積が、地域全体に広がっている。

現在、鄭州には100社を超える超硬素材関連企業が集まり、産業規模は150億元(約3505億2300万円)を超える。柘城県は世界最大のダイヤモンド微粉末の生産拠点となり、河南黄河旋風(Henan Huanghe Whirlwind)、中南ダイヤモンド(Zhongnan Diamond)、力量ダイヤモンド(Liliang Diamond)といった河南企業も、世界の業界をけん引する存在へと成長した。河南省は超硬素材産業チェーンを28の重点産業チェーンの筆頭に位置付け、各種の支援策を打ち出している。企業は研究開発と技術の高度化に力を注ぎ、研究機関は技術課題の克服と人材育成を担う。こうした官民一体の取り組みが、河南をラボグロウンダイヤモンド分野における世界有数の拠点へと押し上げた。

「中原の穀倉地帯」として知られる河南は、いまや「ダイヤモンドの都」とも呼べる存在になりつつある。この土地は、人びとの暮らしを支える農業の力だけでなく、先端技術を育てる力も持っていることを、自ら証明してみせた。河南の「硬さ」とは、単に素材の硬さだけを意味するものではない。何十年にもわたって産業を育て続けてきた粘り強さであり、技術革新を重ねてきた底力でもある。産業チェーンを着実に整え、政策と市場をかみ合わせながら発展してきたその歩みこそが、河南の力強い台頭を物語っている。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News