中国のバイクツーリング経済、新たな消費市場として拡大へ
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【4月29日 CNS】今年3月、中国のバイクメーカー「張雪機車(ZXMOTO)」が世界スーパーバイク選手権(WSBK)の決勝2レースで優勝した。張雪機車の躍進は、この20年近くの間に中国のオートバイが「低価格の移動手段」から「大型排気量のレジャー・娯楽」へと転換してきた流れを象徴するものであり、中国におけるオートバイ消費の盛り上がりをさらに後押しした。
近年、中国のオートバイ消費は、移動手段としての需要からレジャーや娯楽へと高度化している。新しいライフスタイルとしてのバイクツーリングも、徐々に一部の愛好家だけのものから、新たな有望市場へと成長しつつある。統計によると、中国のオートバイ保有台数はすでに1億台を超え、そのうち3割以上のユーザーが中長距離のツーリングを経験している。
中国の業界サイト「汽車之家」が発表した報告によると、バイクツーリング愛好者の年間平均支出額は8000元~1万5000元(約18万6598〜34万9872円)で、装備の購入、ルート関連サービス、宿泊、飲食など幅広い分野に及ぶ。主要ユーザー層を50万人と仮定した場合、関連分野だけでも年間消費規模は40億元~75億元(約932億2992万〜1749億3600万円)に達し、周辺サービスまで含めれば、市場全体は1000億元(約2兆3324億円)規模を超える可能性がある。
利用者の特徴を見ると、現在の中国のバイクツーリング消費は多様化と若年化が進んでいる。Z世代が中心的な成長層となっており、オンラインでライディング用品を購入する人の44.3%を占めている。とりわけ近年は、女性によるオートバイ免許取得の需要が増え続けている。多くの若い女性がオートバイをファッションや個性の象徴と捉え、颯爽とした女性ライダーになることに憧れている。2022年には、北京市の自動車教習所でオートバイ教習を受ける男女の比率がおおむね1対1で、一部の教習所では女性の受講者数が男性を上回る傾向も見られると報じられていた。
また、中国は世界のバイクツーリング愛好家の間で人気の目的地にもなりつつある。韓国、シンガポール、米国、オーストラリアなどから中国を訪れてツーリングを楽しむ人が増えており、SNSでは新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)、雲南省(Yunnan)、内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)などのルートが人気を集めている。各国のライダーたちは中国でのツーリング動画や攻略情報、同行者募集の投稿をネット上で共有しており、中国のバイクツーリングの評判は着実に広がっている。
中国でバイクツーリングが広がることは、バイクレンタル会社や用品店などの関連産業の発展を促すだけでなく、観光業にも影響を与えている。近年はツーリングをテーマにした観光ルートも登場し、それに合わせてライダー向けの拠点整備も進んでいる。例えば、四川省(Sichuan)成都市(Chengdu)双流区では「天府機車公園」の建設が進められており、2026年10月の開業が予定されている。7000平方メートルの本格的なオフロードコースを整備し、「318川蔵線を成都から出発するツーリングの第一拠点」と位置づけて、販売、文化、レース、観光を一体化した施設を目指している。中国西南部のオートバイ産業の発展基盤をさらに整える狙いもある。
もっとも、中国のバイクツーリング経済の発展にはなお一定の制約もある。2025年末時点で、中国ではなお170以上の大中都市でオートバイに対する厳しい走行制限や通行禁止措置が取られており、全面的に規制を撤廃している都市は30余りにとどまる。北京市、上海市、広州市(Guangzhou)、深セン市(Shenzhen)などの一線都市では、オートバイは都市中心部の交通体系からほぼ排除されている。ただ、業界関係者によれば、一部の都市ではオートバイに対する差別化管理策の検討が進んでおり、今後はより多くの都市が「バイクの通行規制」政策を見直し、分類管理や渋滞対策と両立させたきめ細かな管理モデルを模索していく可能性がある。そうなれば、バイクツーリング経済にとって、より好意的な環境が整っていくことになるだろう。(c)CNS/JCM/AFPBB News