【4月20日 AFP】米上院では現在、連邦選挙における有権者の投票資格証明を厳格化する「有権者資格保護(SAVE America Act、SAVE)法案」が議論されている。この法案が可決されると、既婚女性やトランスジェンダーの人々にとっては、投票がこれまで以上に複雑になる可能性がある。

この法案は、米国人が連邦選挙で有権者登録する際の「市民権の証明」を厳格化するもので、パスポート、運転免許証、出生証明書など、身分を証明するための公的書類の提示を義務づける。

しかし、多くの女性は結婚すると名前が変わることから、出生証明書の名前と現在使用している名前とが一致しなくなる。そのため、矛盾を説明するためには、追加書類の提示が必要となる。

この問題は、書類が現在の身元を正確に反映していない可能性があるトランスジェンダーの人々にも起こり得る。

こうした状況について、ニューヨーク大学の公共政策研究所であるブレナン司法センターの専門家は「2100万人以上の米国人は、これらの書類に簡単にアクセスできない。米国人の約半数はパスポートすら持っていない」と指摘する。

また、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の選挙法専門家リック・ハセン氏によれば、SAVE法では、女性とトランスジェンダーの人々が最も影響を受けやすく、パスポートを持っていない低所得層や労働者階級の米国人も同様に影響を受けることになるという。

下院はすでにSAVE法案を可決している。ただ、上院では民主党の反対が強く、通過は困難とみられている。

■名前の変更

投票権の拡大を求める市民団体「フロリダ・ライジング」の政策・研究ディレクター、レティシア・ハーモン氏は、過去にワシントン州で結婚したが、その後に離婚し、これまでに2回名前を変更していると自身についてAFPに語った。

その上で「どの名前がデータベースに記録されているかわからない」ため、提示すべき書類を正確に知ることが難しいとし、ワシントン州から離婚証明書を取り寄せる必要がある場合には、費用と時間がかかると指摘した。

ホワイトハウスは、選挙詐欺を防ぎ、非市民が投票するのを防ぐためにSAVE法は必要だと主張するが、現在の米国法でもそれはすでに禁止されている。

既婚女性の問題については先月、ホワイトハウスのキャロライン・レビット報道官が「彼女たちはその書類を更新するために州の手続きを経るだけ」と述べている。