【三里河中国経済観察】不確実な世界の中で、中国は「確実性」の座標になりつつある
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【4月20日 CNS】「かつて西側の一部の国は、自国が発展した後、自分たちが上るのに使った『はしご』を外し、他の国が発展できないようにしてきた。発展を独占しようとしたのだ。だが今、中国がしようとしているのは、自らが発展した後、その『はしご』を外へ差し出し、他の国々が発展を実現することを認め、奨励し、支援することだ」
香港中文大学(The Chinese University of Hong Kong)(深セン)公共政策学院の鄭永年(Zheng Yongnian)院長がボアオ・アジア・フォーラム2026年年次総会で語ったこの言葉は、いま世界各国が抱える不安と期待を鋭く突いている。
フォーラム開催の直前、中東情勢は急速に緊迫化した。ボアオ・アジア・フォーラムの張軍(Zhang Jun)事務局長は24日の開幕式で、「現在の中東地域の緊張情勢の影響により、今年のボアオ・アジア・フォーラム年次総会に出席できない重要来賓もいるが、私たちはこれを理解している」と述べ、今回のフォーラムが置かれた特別な背景を示した。
これもまた、出席者たちが避けて通れない重要な議題となった。世界の不確実性が、いま急速に広がっているということだ。シンガポールのウォン・カンセン(Wong Kan Seng)元副首相は、国家間の信頼が損なわれつつあり、協力関係も慎重になっていると率直に語った。各国は、誰と貿易するのか、どのように貿易するのか、どれほどの地政学的リスクに直面するのかを改めて見極めようとしているという。
イタリアのパオロ・ジェンティローニ(Paolo Gentiloni)元首相はは「グローバル化の時代そのものは終わっていないが、『ルールに基づくグローバル化』が、「力に基づくグローバル化」に取って代わられつつある」と述べた。
米国のカルロス・グティエレス(Carlos Gutierrez)元商務長官も、別の角度から同じ認識を示した。米国はすでに複数の国際機関から離脱し、世界の貿易体制は深刻な打撃を受けている。「過去に戻る」ことは、見通せる将来においてもはや不可能だと指摘した。
では、世界はどこへ向かうのか。
ボアオ・アジア・フォーラムが示した答えは明確で、しかも揺るがないものだった。アジアは、不確実な世界の中で「安定装置」になりつつある、ということだ。
これは単なるスローガンではない。裏付けとなる確かなデータがある。
中国アセアンセンター(ACC)の史忠俊(Shi Zhongjun)事務総長は、アジアはいまなお世界成長のエンジンであり、世界のGDP成長の60%はアジア経済圏によるものだと指摘した。そして、発展と共存共栄を通じて成長の勢いを保ち、世界で最も活力ある成長の一極を築くことが共通の課題だと述べた。そのうえで、「世界が不安定になればなるほど、アジアはより結束しなければならない」と強調した。
アジアから世界へと視野を広げれば、団結と協力を進め、互恵と共栄を求めるうえで、中国の役割はますます重要になっている。ハンガリー国立銀行(中央銀、NBH)のダニエル・パロタイ(%%Daniel Palotai&&)副総裁は、自国の経験を紹介した。「関税戦争」や「貿易戦争」の衝撃に直面する中、ハンガリーは「東西を結ぶ結節点」になる道を選んだ。中国の製造業企業による投資を呼び込み、地域協力を深めることで、外部リスクを和らげようとしているという。「中国の主要銀行がハンガリーに支店を設けたことで、私たちにとって重要な安全網が築かれた」とも述べた。
東西対立が強まる中で、ハンガリーは自らの立ち位置を見いだし、その中で中国は重要な役割を担っている。鄭永年氏は、「中国式現代化は『オープンソース型』の現代化だ」との見方を示す。地政学的な不確実性が極めて高まる現在、中国の「第15次5か年計画」そのものが、世界に確実性を提供し、それを制度として支える枠組みになっているという。そして、それはこの過程への参加を望む国々にも恩恵をもたらすと述べた。
さらに鄭氏は、「中国は自らのやり方で、長期にわたり着実に、世界経済の再均衡を進めている」と語った。これは、今年のボアオ・アジア・フォーラム年次総会のテーマである「共通の未来を形づくる――新たな情勢、新たな機会、新たな協力」に呼応するものであると同時に、いまの世界そのものへの応答でもある。
関税戦争の火種はなお消えておらず、地政学的な衝突も激しさを増し、世界のガバナンス体制には重い圧力がかかっている。だが、こうした不確実性に満ちた時代だからこそ、中国の開放、アジアの結束、地域協力の深化が、世界にとって得がたい予見可能な座標を与えつつある。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News