【4月9日 AFP】ドナルド・トランプ米大統領の注目を集めたウクライナ難民殺害事件で、殺人罪で起訴された男が、精神的な理由により州裁判所での裁判に耐え得る責任能力がないと判断された。米メディアが8日に報じた。

デカルロス・ブラウン・ジュニア被告(35)は、昨年8月にノースカロライナ州シャーロットの列車内でウクライナ難民のイリーナ・ザルツカさん(23)を刺殺したとして殺人罪に問われている。

ブラウン被告は連邦裁判所でも起訴されているが、検察側は今回の判断は連邦裁判所の審理には影響しないとしている。

ノースカロライナ州西部地区連邦検事局はX(旧ツイッター)で、「デカルロス・ブラウン被告は連邦大陪審の起訴状に基づき連邦勾留されている。州裁判所の審理および精神鑑定は、(連邦裁判所の審理とは)完全に別個のものだ」と述べた。

WBTVをはじめとする地元テレビ局によると、州立精神科病院がブラウン被告には「裁判を受ける能力がない」と判断。弁護人は被告の責任能力が回復するまで裁判を延期するよう裁判所に求めているという。

この事件は米国の右派が政治的に結束するきっかけとなり、トランプ氏は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で、アフリカ系米国人のブラウン被告を「けだもの」と呼んで非難。

「平和と安全を求めてウクライナから米国にやって来た美しい若い女性を、これほど残忍に殺害したこの『けだもの』には、『迅速な』(疑いの余地はない!)裁判で、『死刑』のみを言い渡すべきだ。他に選択肢はあり得ない!!!」と述べた。

ナイフによる襲撃の場面を捉えた防犯カメラの映像は、右派メディアやソーシャルメディアで広く拡散された。

この事件を受けてトランプ氏は犯罪取り締まりを強化。首都ワシントンに州兵を配備し、民主党市長が率いる他の都市にも州兵を配備すると繰り返し脅迫した。

ブラウン被告には、武装強盗で拘禁5年の有罪判決を受けるなど、複数の前科がある。

ホワイトハウスのキャロライン・レビット報道官は、ブラウン被告を「モンスター」と呼び、「刑務所に入れておくべきだった」と述べた。(c)AFP