【3月25日 AFP】ドイツの国家元首フランクワルター・シュタインマイヤー大統領は24日、伝統的な同盟国である米国との間に「深い亀裂」が生じていると述べ、米イスラエルによる対イラン攻撃は「国際法違反」だと断言した。

シュタインマイヤー氏はドイツ外務省創設75周年記念式典で異例とも言える強い口調で、2022年のロシアによるウクライナへの全面侵攻から後戻りできないのと同様に、ドナルド・トランプ米大統領が政権復帰を果たした2025年1月20日以前の状態に戻ることもできないと述べた。

「亀裂はあまりにも深く、米国の権力政治に対する信頼は、同盟国だけでなく世界中から失われてしまった」と述べた。

シュタインマイヤー氏の役割は主に儀礼的なものにすぎないが、米イスラエルの対イラン攻撃を公式に非難していないドイツで、その発言は大きな意味を持つ。

外相経験もあるシュタインマイヤー氏は、「国際法違反を国際法違反と呼ばないからといって、わが国の外交政策の説得力が増すわけではない」と主張。

対イラン攻撃を米イスラエルが仕掛けた「戦争」と呼び、「私の見解では、国際法違反だ」と強調した。

さらに、「いずれにせよ、米国への攻撃が差し迫っていたという正当化が成り立たないことに疑いの余地はほとんどない」と付け加えた。

ドイツのフリードリヒ・メルツ首相は、イラン指導部を厳しく批判し、米イスラエルの対イラン攻撃における主要目標のいくつかを支持している。

しかし同時に、もし事前に相談されていれば、攻撃に「反対しただろう」とも述べている。

■「泥棒の巣窟」

シュタインマイヤー氏は、対イラン攻撃を「政治的に破滅的な過ち」であり、「真に回避可能で不必要な戦争」と呼んだ。

さらに、「現実主義(リアリズム)とは、この米政権との交渉において実利的な姿勢を取り、ドイツの核心的利益に焦点を当てなければならないことを意味する」「しかし、現実主義というのは、ドイツ独自の原則を妥協してはならないことも意味する」と主張。

「米政府はドイツとは異なる世界観を持っており、確立されたルール、パートナーシップ、そして苦労して築き上げてきた信頼を全く顧みない」「われわれにそれを変えることはできない。ただ、それに対処していくしかない。しかし私は確信している。ドイツがこの世界観に合わせなければならない理由は一切ないと」と付け加えた。

これに対しドイツ・イスラエル協会のフォルカー・ベック会長は、シュタインマイヤー氏の対イラン攻撃に関する発言を「極めて不適切だ」と非難し、「独りよがりな知ったかぶり」の態度を示していると述べた。

「イランのイスラム神権体制は長年にわたり、イスラエルの存立そのものを脅かし、戦争を仕掛けてきた」と主張し、シュタインマイヤー氏は「こうした危険に目をつぶっている」と非難した。

シュタインマイヤー氏が米国を批判するのは今回が初めてではない。

シュタインマイヤー氏は1月に米国が南米ベネズエラに介入した直後、米国における「価値観の崩壊」について語り、世界が「泥棒の巣窟」と化すのを許してはならないと呼び掛けた。(c)AFP