【3月30日 東方新報】「春節(旧正月、Lunar New Year)期間中、上海市や省内の多くのお客様から、トゥチャ族の刺繍を用いたカルチャーグッズ、土産品、衣類などの注文が次々に入った」、ここ数日、湖南省(Hunan)の無形文化遺産・トゥチャ刺繍の代表的継承者・張綉雲(Zhang Xiuyun)さんは、一日中工房に詰め、下絵作成、下絵写し、配色、刺繍織りに至るまで、一つ一つの工程に自ら目を光らせている。

張さんが率いるこのトゥチャ刺繍の無形文化遺産工房は、湖南省張家界市(Zhangjiajie)永定区王家坪鎮の馬頭渓村にある。工房に足を踏み入れると、繍娘(刺繍織子の女性)たちが机を囲み、うつむきながら注文品の制作に励む様子が見られる。彼女たちの指先が素早く動くたびに絹糸が織り込まれ独特の紋様が縫いだされる。彼女たちは張家界の山水(自然)から着想を得て、一針一針民族の特色ある刺繍模様を描き出している。

トゥチャ刺繍は、布目を数えながら糸をすくって刺す「挑花」、図案に沿って針を上下に通して模様を縫い出す「繡花」、別な布を貼り付けて刺繍を施すアップリケ技法の「補花」など、多様な伝統技法を融合させた、繊細な技巧の優れた工芸品である。

この無形文化遺産の技を頼りに、工房では工芸品、衣類、服飾品、錦織(にしきおり)、さらには現代的なオリジナルカルチャーグッズなど一連のシリーズ製品を開発した。民族的な紋様と郷土の趣が共存するこれらの製品は、地元の市民や観光客に人気があるだけでなく、遠く海外にも販路を広げている。

張さんは「工房は春節明け2月28日から全面的に操業を再開した。会社と生産拠点のほか各農家でも同時進行で制作をしている」と話す。張さんの話によれば、近年この地域では「無形文化遺産+就業+文化・観光」という発展モデルを探求し、無形文化遺産の工房やママさん工場を設立することで、家庭にいる農村女性や障がい者などのグループを地元で雇用し、無形文化遺産の技を住民の収入増加と富裕化への新たなチャネルとしている。

村民の龔秀桃(Gong Xiutao)さんは刺繍をしながら「以前は広東省(Guangdong)に出稼ぎに行っていたが、故郷で刺繍の講習を開くと聞いて戻ってきた。今では機織りも刺繍も何でも自在にできるようになり、収入も安定し、そのうえ年寄りや子どもの面倒をみることができる。外地で働くよりもずっと安心だ」と語った。

19歳の胡晴(Hu Qing)さんは、トゥチャ刺繍を学び始めて2年近くになる。胡さんは「この技術を身につければ家計の足しになるだけでなく、文化の継承にもつながる。民族の紋様をこれからもずっと伝えていくことができる」と話す。

現在、トゥチャ刺繍の無形文化遺産工房は、操業再開を機に、無形文化遺産の伝承と注文品の制作に励む傍ら、雇用と収入増加の道筋を継続的に拡大し、トゥチャ文化を宿したこれら手作りの作品を、より遠くへ届けようとしている。(c)東方新報/AFPBB News