中国、世界水準の製薬企業育成へ
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【3月21日 東方新報】今年の政府活動報告では、集積回路、航空宇宙、バイオ医薬、低空経済などを新たな基幹産業として育成する方針が示された。バイオ医薬が新興基幹産業に位置付けられたことについて、上海市衛生健康発展研究センター主任の金春林(Jin Chunlin)氏は、バイオ医薬産業が国家戦略に関わる新たな経済成長エンジンになったことを意味すると説明する。
金春林氏によると、中国のバイオ医薬産業はこれまでジェネリック医薬品が中心だったが、現在は革新的新薬への転換が進んでいる。産業の高度化とともに、中国は従来の追随者から、一部の分野では並走し、さらに先行する段階に入りつつあるという。
コンサルティング会社Citelineの主席アナリスト、周淑華(Zhou Shuhua)氏は、今後はバイオ医薬業界への政策支援がさらに強まり、地方政府も重要産業として位置付けるようになるとみる。現在の課題は、市場参入と支払いの仕組みにある。中国では国家医療保険が最大の支払者だが、今後は医療保険、自己負担、民間医療保険を組み合わせた多元的な支払い体系の整備が進む見通しだ。民間医療保険にはなお課題があるものの、政策支援の強化で徐々に改善が期待されている。
金春林氏はまた、バイオ医薬が新興基幹産業となったことで、今後は産業全体を支える政策が段階的に実施される可能性があると指摘する。医療保険当局はイノベーション支援を強め、医療保険薬品リストの調整制度を改善し、革新的新薬への保障を強化すべきだとした。あわせて、基礎研究の弱さという課題に対応するため、国家レベルの重点研究プロジェクトや研究機関の整備を通じ、産学研医の連携を進める必要があるとした。
全国人民代表大会代表で斉魯製薬集団(Qilu Pharmaceutical Group)総裁の李燕(Li Yan)氏は、「第15次五か年計画(十五五)」期間中にバイオ医薬産業で三つの重要な変化が起きるとみている。第一に、First-in-Class(世界初の新薬)や差別化された開発パイプラインが企業競争力の中核となり、細胞治療、遺伝子治療、AI創薬、合成生物学などの産業化が進むこと。第二に、医療保険と民間保険の連携が進み、革新的新薬の事業化までの時間短縮が期待されること。第三に、中国のイノベーションが製品輸出から技術やプラットフォームの海外展開へと進み、国際競争への参加が本格化することだ。
李燕氏は、「今後5年から10年で、中国から世界級の製薬企業が次々に生まれるだろう」との見通しを示した。
製薬会社の石薬集団(CSPC Pharmaceutical Group)は、政府活動報告が産業高度化を後押しする重要な政策シグナルを示したと評価し、長年のイノベーション蓄積が実を結ぶなか、中国のバイオ医薬産業は新たな高品質成長の局面に入りつつあるとした。これは、中国が世界の医薬産業チェーンにおける発言力と競争力を高めるうえで重要だとしている。
バイオ創薬企業の信達生物製薬集団(Innovent Biologics)の銭镭(Qian Lei)氏は、過去10年の中国バイオ医薬産業の発展は、医薬品審査・承認制度改革や医療保険薬品リストの継続的な見直し、資本市場による支援に支えられてきたと指摘した。こうした環境整備のもとで、中国の革新的新薬産業は研究開発力、製品数、産業化水準の各面で大きく向上したという。
バイオ医薬品事業を行う企業・上海君実生物医薬科技(Shanghai Junshi Biosciences)の李鑫(Li Xin)氏も、バイオ医薬を新興基幹産業に位置付けたことで、政策、資本、人材、市場が今後さらに革新的新薬企業に集まり、中国のバイオ医薬産業は規模拡大中心の成長から、高品質かつ独自性の高いイノベーション重視の段階へ進むとの見方を示した。(c)東方新報/AFPBB News