【3月23日 CNS】年明け早々、中国・山東省(Shandong)濰坊市(Weifang)臨朐県ではフォアグラの国内外からの注文が「爆発的に増え」、複数の企業が増産に追われていた。

山東省臨朐県は、中国国内でもそれほど知られていない小さな県だが、年間のフォアグラ生産量は5000トン余りに上り、世界市場の約20%を占める。年間生産額は80億元(約円)を超えるという。

実は、キャビア、黒トリュフ、フォアグラという「世界の西洋料理を代表する三大高級食材」の多くが、いま中国産になっている。データによれば、中国は世界のキャビアの60%、フォアグラの45%、黒トリュフの80%以上を生産している。太陽光パネル、リチウム電池、電気自動車といった中国輸出の「新三様」に似て、キャビア、黒トリュフ、フォアグラも中国の農産物輸出における「新三様」になりつつあり、「中国製」の意味はすでに製造業の枠を超えている。

中国の農産物が世界の高級な食卓を占める背景には、技術革新が大きく関わっている。かつてキャビアは主に天然のチョウザメから採取されていたが、乱獲の結果、野生のチョウザメは絶滅危惧種となった。2000年前後には主要消費市場が相次いで法律を整備し、野生チョウザメ由来キャビアの取引を禁止したことで、中国の養殖キャビアに商機が生まれた。

浙江省(Zhejiang)杭州市(Hangzhou)の「鱘龍科技(Kaluga Queen)」は世界最大のキャビア企業とされる。同社は新技術を用い、養殖用の人工湖の水温を一年を通して適温に保ち、年間を通じてキャビアを生産できる体制を整えている。配管ネットワークで毎日およそ20万尾のチョウザメに給餌し、ドローンが魚群数を把握する。従来の養殖技術では雌雄判別に3年かかるのに対し、同社は6か月で判別できるという。

中国の農産物が強いもう一つの理由は、多様な地理条件だ。臨朐県はフランスのランド県と気候や土壌条件が似ており、ランド種ガチョウの飼育に適している。38年にわたる育成を経て、種ガチョウの繁殖、規模養殖、加工・高付加価値化、貿易輸出までを一体化した産業チェーンが形成され、加工および関連企業が105社、養殖主体は3400余りに達する。年間のランド種ガチョウ出荷は500万羽という。

また、日照に恵まれた甘粛省(Gansu)ではオリーブオイル産業が活況を呈し、寧夏回族自治区(Ningxia Hui Autonomous Region)の賀蘭山東麓では高級ワインが高い評価を得ている。「レモンの郷」と呼ばれる四川省(Sichuan)資陽市(Ziyang)安岳県の「安岳レモン」は、5年前にすでに中欧地理的表示(GI)協定の保護リストに入った。

交通・物流の発達も、中国の農産物が世界へ届く大きな要因だ。例えば雲南省(Yunnan)では、フランス産に劣らない品質の黒トリュフが気候と地理条件により育まれる一方、かつては物流の制約で知名度が伸びなかった。しかし中国の高速鉄道や高速道路、航空便が発達し、物流やコールドチェーンの能力が向上したことで、露の付いた雲南産トリュフが最短24時間で中国各地に届くようになり、先進的な鮮度保持技術も追い風となって、フランス、ドイツ、アラブ首長国連邦(UAE)などへも輸出されている。

さらに生活水準の向上により、中国人の「より良い暮らし」への需要は「満腹になる」から「おいしく、健康的で、多様な食を楽しむ」方向へと変化している。そのため高級食材は輸出向けにとどまらず、一般の中国人の食卓にもより多く並ぶようになった。新たな消費の時代を背景に、キャビア入りアイスクリームや黒トリュフ月餅といった新商品も次々に登場している。(c)CNS/JCM/AFPBB News