【2月20日 AFP】高額報酬の仕事があるとだまされてロシアに誘い込まれ、ウクライナの最前線に送り込まれているケニア人35人の家族は19日、ケニア政府に対し、彼らを帰国させる措置を取るよう要求した。

今月AFPが報じたものを含む複数のメディアの調査報道によって、高額報酬の仕事があるとだましてアフリカ諸国の男性たちをロシアに誘い込み、ウクライナの最前線での戦闘を強要してきたスキームの実態が明らかになっている。

18日にケニア議会に提出された情報機関の報告書によると、これまでにケニア人1000人以上がロシアのために戦ったという。

中には傭兵(ようへい)として稼ごうと自発的に出国した元兵士もいるが、大半はロシア当局と提携する悪徳人材あっせん会社にだまされたとみられている。

19日、だまされたケニア人の家族たちは首都ナイロビに集まり、ウクライナでロシアのために戦わされているケニア人男性の写真と「息子を連れ戻せ」などと書かれたプラカードを掲げて抗議デモを行った。

そうした家族の一人、ウィニー・ローズ・ワンブイさんは、「兄の生死に関する情報を何でもいいから知りたい。少なくとも心の整理ができる」と語った。

ワンブイさんの兄、サミュエル・マイナさんは、ショッピングモールの警備員の仕事があると信じてロシアへ渡航した。

ワンブイさんによると、兄は10月31日に森の中か​​ら「救助を求める音声メモ」を送り、家族に自分のために祈ってほしいと頼んできたという。それ以来、連絡はない。

「ケニア外務省は私たちを助けてくれない」「何か質問があればモスクワのケニア大使館に行くように言われた」とワンブイさんは語った。

複数の家族がAFPに対し、ロシアに渡った身内の男性から数か月間連絡がないと語った。

在ケニア・ロシア大使館は19日、X(旧ツイッター)に声明を投稿し、ケニア人がだまされてロシア側で戦わされているという疑惑を否定し、「危険で誤解を招くプロパガンダ活動だ」と主張した。

ケニア議会に提出された国家情報局と犯罪捜査局が作成した報告書によると、ロシアに戦闘員として採用された人数は当局が昨年12月に発表した「約200人」という数字をはるかに上回っていた。

キマニ・イチュングワ下院多数党院内総務は議会で、「悪徳人材あっせん会社は、元軍人や元警察官だけでなく、国外で働くことを切望している民間人もターゲットにしている」と語った。

悪徳人材あっせん会社は悪質な空港職員や入国管理官と共謀しており、発覚を免れるために他のアフリカ諸国から出国するケースも増えているという。

イチュングワ氏によると、現在はケニア人89人がウクライナの前線におり、少なくとも39人は負傷して入院、28人が行方不明になっている。

ロシアはウクライナで甚大な人的被害を出しており、ウガンダや南アフリカなど、他のアフリカ諸国でも戦闘員を集めている。(c)AFP