韓国・ビットコイン「62万枚誤配布」事故…問われるのは帳簿取引か、統制の甘さか
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【02月11日 KOREA WAVE】仮想資産取引所ビッサムで発生したビットコイン62万枚の誤配布事故が、韓国の業界全体への不信に広がりかねないとの懸念を呼んでいる。実在しないコインが「帳簿取引」によって生み出されたのではないか、という批判が強まったためだ。
もっとも、帳簿取引そのものは銀行や証券会社も用いる一般的な方式で、問題の核心は別にある。今回の直接的な原因は、異常な数量の支給を単一承認で可能にしていたビッサムの甘い内部統制にあった。何が起き、どこに問題があったのか。Q&Aで整理する。
Q:今回の誤配布事故とは?
A:ビッサムは6日、イベント当選者に1人当たり2000ウォン相当のビットコインを配る予定だったが、入力ミスで1人当たり2000枚を付与してしまった。誤配布は計62万枚に及ぶ。ビッサムの保有量(昨年第3四半期報告)は約4万2800枚に過ぎず、保有量の約14倍が帳簿上で付与された。誤配布を受けた一部利用者が売却に動いた結果、ビッサム内の価格が一時急落し、混乱が拡大した。
Q:保有量以上のコインがなぜ配れたのか?
A:中央集権型取引所(CEX)で一般的な「帳簿取引」を用いているためだ。実際のブロックチェーン上でコインが移動する前に、内部データベースの残高を更新し、取引を高速処理する。今回の62万枚は、あくまでビッサム内部の帳簿に記録された数量で、ブロックチェーン上で新規発行(マイニング)されたわけではない。
Q:帳簿取引は問題なのか?
A:方式自体は問題ではない。重要なのは、帳簿上の数量と実保有量の整合性を常時確認する体制だ。例えばアップビットでは5分ごとに照合する専任体制がある。一方、ビッサムは事故発生後も約20分間、異常を把握できなかった。大量の不整合が生じても検知できなかった点が致命的だった。
Q:真の原因は何か?
A:内部統制の欠如だ。他社では、イベント報酬専用の口座を設け、事前に確保した数量の範囲内でのみ支給できる仕組みを採る。コビットなどは二重帳簿で入出金が対にならないと記録されない設計だ。また、多段階承認(複数部署の承認)を採るのが一般的だが、ビッサムは単一承認で支給できた。
Q:「存在しないコイン」はなぜ売却できた?
A:帳簿上の数量は「ビッサム内」でのみ有効だったため、同取引所内の売買は成立した。各取引所は独立した市場で、価格下落もビッサム内に限られた。外部への出金は不可能で、実際に起きたのは、内部売却後に得た「ウォン」の引き出しのみだ。
Q:中央集権型取引所は危険なのか?
A:一概にそうとは言えない。問題は方式ではなく、内部統制の設計と運用だ。多くの取引所は予防装置を備えており、今回のような事態は例外的といえる。
Q:誤配布分を売却した利用者は?
A:誤配布の99.7%は回収済み。帳簿上の数量を消去すれば足りる。一方、売却や他資産への交換に使った利用者が約80人おり、返還に応じない場合は不当利得返還請求などの民事手続きが検討される。帳簿取引は不可欠なインフラだが、整合性の担保と多層的な承認がなければ、致命的な事故を招く。今回の教訓は、技術ではなく統治(ガバナンス)にある。
(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News