【2月13日 東方新報】旅行中の急な受診だけでなく、「中医(中国伝統医学)を受けるために飛行機で来て、ついでに観光もする」といった動きが目立ち始め、入境医療サービス海外から患者を受け入れる医療ツーリズム)が新たなトレンドになりつつある。北京商報(Beijing Business Today)の取材によると、複数の医療機関が2025年以降、海外から来て受診する患者が増え、国籍も多様化していると明かした。中医を受ける国際患者が約2割増えたケースもあり、外反母趾の低侵襲治療を目的に来中し、鍼灸(しんきゅう)や中薬による治療を体験する患者もいるという。背景には、中国の診療の速さや費用面の利点に加え、SNSでの拡散が後押ししているとみられる。

医療関係者によると、国際患者の増加は現場でも実感されている。中国中医科学院望京医院の整形外科主任医師・温建民(Wen Jianming)氏は、2025年に自身が診た国際患者が前年同期比で15%増えたと話し、従来多かったオーストラリア、ドイツ、ロシア、米国に加え、東南アジアからの患者も新たに来院しているという。中国医学と西洋医学を組み合わせた外反母趾の低侵襲治療を受けるために来る人がいる一方、北京市を観光中に首や肩、腰、脚の痛みを訴え、鍼灸や中薬での調整を試す外国人もいるとしている。

天津市(Tianjin)の外資系総合病院の院長は、国際患者は中国の病院の「対応の速さ」と「費用の安さ」を重視する傾向があり、SNSがその情報を海外に伝える役割も果たしていると指摘した。実際、中国のSNSでは、国際外来でMRIを受けた費用が486元で待ち時間は30分だったという投稿が注目を集め、米国では高額で数か月待つこともあると比較する内容が拡散した。

一方、需要の増加は、入境医療サービスの整備を急ぐ必要性も浮き彫りにしている。医療機関側は、海外向けの情報発信は「国内向けの内容をそのまま流す」のではなく、国や文化背景の違いを踏まえ、国際患者の悩みに直結する形で届ける必要があるとしている。また、受診時の意思疎通を支える医療通訳、とりわけ主要言語以外の言語に対応でき、かつ中医の知識もある人材の育成・確保が課題だという。

さらに、外国人患者に配慮した受診の流れやサービス体制づくりも論点となっている。海外では家庭医が初診を担い、必要に応じて専門医を紹介する仕組みが一般的だが、中国では患者が直接専門科を受診するケースが多く、制度の違いが戸惑いを生みやすい。加えて、診療そのものに加え、言語や宗教、食事、移動手段、文化的背景への配慮を含めた総合的なサービス設計が重要だとの指摘も出ている。関係者は、医療と観光の連携は今後の課題としながらも、中国がバイオ技術や革新的な治療分野で強みを確立できれば、入境医療市場には今後も大きな成長余地があるとの見方を示した。(c)東方新報/AFPBB News