英国のゴス系スクールガールキャラ「アメリア」、極右が無断使用 欧米で拡散
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【1月30日 AFP】英国政府の過激主義対策ゲームに登場する紫色の髪をした反移民のキャラクター「アメリア」が、極右勢力によってAI(人工知能)生成の動画に無断使用され、欧米で拡散している。
チョーカーを身に着けた反骨精神あふれるゴス系スクールガールとして描かれたアメリアは、英内務省の資金提供を受け、イングランド北東部のセカンダリースクール向けに開発されたオンラインゲーム「Pathways」のキャラクターだ。
このゲームは、政府の過激主義対策プログラム「Prevent」の一環として制作された。禁止団体への参加といった危険な行動をモデル化することで、過激主義への警告を発している。
アメリアは、移民が英国人の仕事を奪っていると訴え、クラスメートたちに「イングランドの権利」を守る秘密団体への参加を呼び掛けている。
このゲームは、グラフィックがチープだったため、一部の主流メディアから嘲笑された。
だが、極右勢力はアメリアをマスコットキャラクターとして採用し、英国を拠点としていると思われるX(旧ツイッター)アカウントがアメリアを名乗り、その名を冠した仮想通貨を販売した。
2億3300万人のフォロワーを持つXのオーナー、イーロン・マスク氏は、このアカウントが英国人のアイデンティティーについて説明する投稿をリポストした。
ユーザーらは、アメリアが英国旗を振り、「英政府と英国からイスラム教徒を排除する」と誓う動画をAIを使って生成した。
Xの匿名極右インフルエンサーアカウント「バジル・ザ・グレート」は、アメリアを「抵抗の象徴」と呼んだ。
シンクタンク、戦略対話研究所のアナリスト、シッダールト・ベンカタラマクリシュナン氏は、アメリアのミームは「非常に短期間で急速に広まった」と説明。
極右ブロガーたちはアメリアを「移民の男たちから身を守る自由の闘士」として描いていると付け加えた。
ユーザーたちが投稿したAI生成動画には、アメリアがミニドレスを着てロンドン中を闊歩(かっぽ)し、キア・スターマー首相を殴り、同性愛嫌悪や人種差別的な侮辱を浴びせるものもある。アメリアがくまのパディントンを抱きしめたり、ハリー・ポッターと会ったりするものもある。どちらも英国の作家によって生み出された同国を代表するキャラクターだ。
ベンカタラマクリシュナン氏は、こうしたミームは「キャッチー」で「性的特色を付与されている」と指摘した。
このゲームを開発したシャウトアウトUKの創設者マッテオ・ベルガミニ氏はAFPに対し、同社のウェブサイトへの英国内外からのアクセスが増加していると語った。
ベルガミニ氏は、スタッフが「過激派から脅迫や悪意のある連絡」を受けており、警察が捜査中だと説明。
「オンライン学習ツールの女性キャラクターでさえ、悪意のある人物によって性的に利用され、搾取される可能性があることを、私たちは心に留めておく必要がある」と述べた。
ベルガミニ氏は、こうした行為を「憎悪と怒りを巧みに使用して金儲けをしている」と非難した。
このミームはアメリカにも広がり、AIが生成した動画の中には、ドナルド・トランプ米大統領がアメリアを抱きしめ、「アメリカ(米国)はアメリアを愛している」と述べるものもある。
AFPのファクトチェッカーは、ドイツ語とオランダ語でアメリアのミームを拡散しているアカウントを発見。ドイツ南部などの伝統衣装「ディアンドル」を着たマリアという名前のドイツ版キャラクターと、エマという名前のオランダ版キャラクターが作成されていることも分かった。(c)AFP