【2月2日 東方新報】チェリーに赤ブドウ、赤いリンゴ、ハスの実などの果物を組み合わせ、さらに生花や小豆、新年のメッセージカードを添える――。湖南省(Hunan)長沙市(Changsha)雨花区のフルーツギフト専門店では、1990年代生まれの店主・李倩(Li Qian)さんが考案したフランス風フルーツギフトが、新年向けの贈答品としてすでに100件以上の注文を集めている。注文の多くは企業からのまとめ買いだ。

「花と果物を一つの上質なギフトボックスに収めることで、新しさと美しさの両方を演出できる」。李倩さんは取材に対し、若い世代は祝祭ならではの特別感を重視し、そのための支出をいとわない傾向があると語る。消費の基準は「使えればいい」から、「気持ちよく使え、楽しめるか」へと変わってきているという。

旧暦の午(うま)年の春節(旧正月、Lunar New Year)が近づく中、こうした個性を前面に出した年末年始ギフトが市場の注目を集めている。

長沙市開福区にある李艶刺繍芸術館では、スタッフが「馬上有福(すぐに福が訪れる)」と名付けられた新年用ギフトセットの発送作業に追われている。午年限定のこのセットは、湖南省の伝統工芸である湘繍を用いた飾り物で、伝統的な盤金繍の技法によって「福」の文字が手刺繍され、台座には白い大理石の馬の頭部をあしらった。「すぐに福が来る」「物事が順調に進む」といった願いが込められている。運営総監の王嫣然(Wang Yanran)さんによると、同館では毎年、干支をテーマに湘繍と組み合わせた新年ギフトを企画しているという。

また、江西省(Jiangxi)景徳鎮市(Jingdezhen)で陶磁器のデザイン商品に携わる、湖南省株洲市(Zhuzhou)出身の陸明(Lu Ming)さんは、各地の陶磁器メーカーや工房が「すぐに金運が巡る」「運気が好転する」といった縁起を込め、馬をモチーフにした陶磁器製品を相次いで発売していると話す。

定番の菓子類から高機能なスマート製品、オーダーメイドの年越し料理まで、春節を前に「ペット向け消費」の盛り上がりも細かな需要を生み、ペット用春節商品の種類は年々増えている。長沙の大型スーパー「喜盈門」店の店長・劉喜雯(Liu Xiwen)さんは、「ペット向けの年越しご飯をグレードアップした。猫を飼う家庭向けには、主食やデザートに加え、蝶ネクタイをセットにした『縁起物缶詰ギフト』を用意した。犬向けのおやつ詰め合わせには、元宝(中国で古くから使われてきた金や銀の塊を模した、縁起物の象徴)や金塊を模したフリーズドライを入れ、猫と犬の両方に使える『お年玉風』の小袋も用意している」と紹介する。

長沙のEC企業で副社長を務める鄒旻(Zou Min)氏は、「中国の消費者は、年末年始ギフトに込められたお祝いらしさ・特別感や感情的なつながりを重視している。春節用品は単なる備えから、人との関係づくりや自分へのご褒美へと役割を変えつつある」と指摘する。こうした変化を支えているのが、進化する即時配送サービスで、物流企業の中にはAIを活用して地域ごとの需要を予測する仕組みを導入する動きもあるという。

長沙新消費研究院で産業研究を担当する黄偲(Huang Cai)氏は、これらの動きは中国の消費市場において、構造と需要の両面で変化が進んでいることを示していると分析する。物質的な充足とサービス基盤の整備が進んだことで、消費の単位は個人レベルまで細分化され、市場は細かなニーズに応じた新たな商品やサービスを生み出せるようになった。

黄氏はさらに、「一部の小売業者は、AIを使った参加型の仕掛けや、テーマ性のある売り場演出によって買い物そのものを楽しませている」と語る。中国で広がる新しい春節ギフト経済の本質は、「自分に関係のあるもの」を求める声に市場が応え、需要と供給を的確に結びつけている点にあり、消費市場はより感情に寄り添い、個人を意識した段階へと進みつつある。(c)東方新報/AFPBB News