【1月22日 AFP】インドネシア中部・東南スラウェシ州ムナ島の洞窟にある手形の壁画が6万7800年以上前に描かれたもので、世界最古の壁画であることが分かった。研究チームが22日、英科学誌ネイチャーに発表した。現生人類がどのようにしてオーストラリアに初めて到達したかを解明する手掛かりとなる。

豪グリフィス大学の共同研究者であるマキシム・オーバート氏によると、研究チームはムナ島の洞窟で顔料を吹き付けて制作したステンシル画を発見した。「おそらく赤土を使ったものとみられる」という。

片方の手の指は「指の先が爪のようにとがって見えるように加工されており、これはスラウェシ島でのみ見られる絵画様式だ」とされる。

研究チームは壁画を覆う炭酸カルシウムの堆積物からサンプルを採取して放射性物質の量から年代を推定した。

6万7800年前のインドネシアの洞窟壁画は、これまで最古と考えられてきたネアンデルタール人によって描かれたものとされるスペインの洞窟壁画も1000年以上古い。だが、スペインの洞窟壁画の年代測定は「議論の的となっている」という。

この洞窟壁画は、同じチームがスラウェシ島でこれまでに発見した壁画よりも1万5000年以上古いものだ。

この壁画は、世界最古の壁画であるだけでなく、長年にわたる歴史の謎を解く手がかりも提供している。

現生人類のホモ・サピエンス(新人)が最初にアジアからオーストラリアへどのように到達したかについては、研究者の間で意見が分かれている。

北ルートをたどり、スラウェシ島を含むインドネシアの島々を船で経由し、パプアニューギニアへ渡った可能性がある。当時、パプアニューギニアとオーストラリアはどちらもサフル大陸の一部で地続きだったので、残りの道のりは徒歩で移動した可能性がある。

あるいは南ルートをたどり、スマトラ島、ジャワ島、バリ島を経由してティモール島に向かい、そこから船でオーストラリアに至った可能性もある。

オーバート氏は、「これらの洞窟壁画は、当時これらのインドネシア諸島に現生人類が存在していたことを示す最初の証拠となる」と説明。

今回の発見は「おそらく約6万5000年前に、パプアニューギニア経由(北ルート)でオーストラリアに到着したという説を裏付けるものだ」と付け加える一方、同時に他の人々が南ルートでオーストラリアへ向かった可能性も排除できないと述べた。

研究者チームは今回の壁画について、オーストラリア先住民の祖先と近い関係にある人々によって描かれた可能性が高いとしている。(c)AFP