【7月25日 AFP】ソマリア北部ソマリランド(Somaliland)のラース・ゲール(Laas Geel)にある洞窟には新石器時代の「芸術家」たちがアンテロープやウシ、キリン、弓矢を持った狩人などを色とりどりに描いた壁画がある。2002年にフランスの考古学チームによって発見された壁画は、描かれてから数千年の時を経ているにもかかわらず、今なお鮮やかな色彩を保ち、およそ5000年前、あるいはもっと古い牧畜の歴史を生き生きと伝えている。

 1991年に一方的にソマリアからの独立を宣言したソマリランドの観光省から派遣されたアブディサラム・シェベリ(Abdisalam Shabelleh)氏は「この壁画は固有のものです。こうした様式はアフリカで他には見られません」と語り、壁画が色あせ、岩が剥がれた一角を指さした。「今なにもしなければ、20年以内に全て消えてしまうかもしれない」

 ソマリランドの中心都市ハルゲイサ(Hargeysa)から約50キロ離れたラース・ゲールの洞窟壁画は、アフリカで最も古く保存状態も最良な岩絵の一つとされる。だが観光客に絵に触れないよう注意を促す警備員は数人しか配置されていない。

 壁画は今すぐにでも保護が必要な状態で、シェベリ氏は「我々には知識も経験も財源もない。支援が必要なんです」と訴えた。(c)AFP/Karim LEBHOUR