【1月21日 AFP】イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」による性奴隷被害の生存者で、著名な人権活動家でもあるイラク少数派ヤジディー教徒のナディア・ムラド氏は20日、シリアのクルド人が国際社会から見捨てられているとして強く非難した。

ノーベル平和賞受賞者のムラド氏は、ISの打倒においてクルド人勢力が果たした重要な役割について指摘。ISは、クルド人部隊が米国主導の国際有志連合の支援を受ける形で打ち破られた。

ムラド氏はX(旧ツイッター)に、「いま、極めて重要な局面で、悪と最前線で戦ってきた人々が見捨てられている。国際社会がシリア、そしてより広い地域で行っていることは混乱そのものであり、その代償を支払うのは罪のない人々だ」と投稿した。

ムラド氏は、イラクのヤジディー教徒社会を代表する著名な人物。ヤジディー教徒は独自の宗教的信仰を持つ少数派であり、2014年にISがシリアとイラクの国境地帯で攻勢をかけた際、標的とされた。

この攻勢の中で、国連調査団や複数の国が後にジェノサイド(集団殺害)と断じた行為が行われ、ISは多数の男性を殺害し、数千人の女性や少女を拉致して性奴隷とした。

ムラド氏は2016年にISの拘束から逃れた後、性暴力の被害者を支援する取り組みを立ち上げ、2年後にノーベル平和賞を受賞した。

ムラド氏は、ISよって女性や少女が置かれた悲惨な境遇に国際的な注目を集めることに貢献した。

最盛期にはシリアとイラクの広大な地域を支配していたISは、米国の支援によりまずイラクで、続いてシリアで打倒されたが、現在もシリアの砂漠地帯では残党が活動を続けている。

シリアでは、クルド人主導の民兵組織シリア民主軍(SDF)が、クルド人が多く居住し、かつてISとの激戦地だった地域で事実上の自治地域を築いてきた。

しかし、今月に入り、SDFは国内全域で権威を確立しようとする政府軍から大きな打撃を受けている。20日には、政府軍が北部の緊張が高まる地域に増援部隊を展開した。(c)AFP