【12月27日 AFP】ドナルド・トランプ米大統領がナイジェリア北西部でイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」に関連する拠点を「壊滅させた」と述べたことを受け、ナイジェリアは26日、イスラム過激派に対するさらなる攻撃を示唆した。米軍は、この攻撃で多数のIS戦闘員を殺害したと発表した。

ナイジェリアは25日の米軍による攻撃について、同国が情報提供を行ったもので共同作戦だったと主張した。

米国防総省の職員は匿名を条件にAFPの取材に応じ、この攻撃は「ナイジェリア政府による承認を得たものだ」と述べたが、ナイジェリア軍が関与したかどうかには触れなかった。

西アフリカに位置するナイジェリアでは2009年以降、北東部では16年にわたり、「ジハード(聖戦)」遂行を主張するイスラム過激派による反乱が続き、北西部では、「盗賊団(バンディッツ)」と呼ばれる重武装した犯罪組織が跋扈(ばっこ)し、村々を襲撃しては住民を殺害・拉致するなど治安情勢は危機的状況にある。

トランプ氏が10月と11月、ナイジェリアでは数々の武力紛争の中、キリスト教徒が「ジェノサイド(集団殺害)」に相当する「存亡の危機」に直面していると非難した。

ナイジェリア政府と独立系アナリストらはこの見解を否定し、ナイジェリアではキリスト教徒もイスラム教徒も関係なく殺され、安全保障危機に直面していると主張しているが、それでも両国は安全保障面で連携を強化している。

ナイジェリアのユスフ・トゥガー外相は、チャンネルズテレビに対し、「情報を提供したのはナイジェリアだ」と述べ、攻撃の前にマルコ・ルビオ米国務長官と電話会談を行っていたことを明らかにした。

さらなる攻撃があるかどうか問われると、トゥガー氏は「これは現在進行中の作戦だ」「(米国との)共同作戦であり、いかなる宗教も標的としていないことを明確にする必要がある」と答えた。

米軍による空爆について、ナイジェリアの世論は割れているようだが、政府は公式に歓迎した。

アブジャを拠点とするNGO「グッド・ガバナンス・アフリカ」の研究員、マリク・サミュエル氏はAFPに対し、「トランプ氏は『ノー』を認めなかっただろう」と指摘。

「北西部の加害者と被害者はどちらも圧倒的多数がイスラム教徒である」にもかかわらず、ナイジェリア政府は米国に協力しているように見せたがっているという。

安全保障アナリストのブラント・フィリップ氏は、今回の空爆の結果は「重大なものではないが、近いうちに大きな成果が出ることが期待される」と述べた。(c)AFP